初出:2017/01/10 Vol.206 乳液は原則不要です
改稿:2024/09/24
本日はスキンケアの話をお送りする。基本原則から外れたことが当たり前に行われていたりするのだ。
スキンケアというと、洗顔後に、化粧水を使って、乳液を塗って、とかそういうのですよね?
一般的にそう言われることが多いけど、乳液は原則として必要ないんだよね、実のところ。
そうなんですか? 基礎化粧品の話を聞くと化粧水とか乳液とかって良く聞くんですが・・・
乳液使わないと乾燥するような肌の状態は、そもそもにして皮脂が足りてない。化粧とそれを洗い流すの繰り返しでお肌が不毛の荒野になってしまっている、と言ってもいい。乳液なしでも保湿できるのが正常な肌の状態なのだ。
はっはっは。二人とも、そろそろ現実逃避をやめて、周囲を見回したらどうだ?(あたり一面の荒野)
誰の! せいで! 周囲が荒野になったと思ってるんじゃあああ〜〜〜!!(アフロ)
いやー、まさか実験室が入った建物が木っ端微塵に吹き飛んで周囲が採石場もかくやの状態になるとは思いませんでしたね・・・(頭にバールのようなものが刺さっている)
はっはっは。実験に失敗は付き物だ! 幸いにして爆発範囲は限定できたことだし、今度はさらにパワーを上げてみようではないか!
※あたりに飛び散っている液体は「インク」です。たぶん。メイビー。
スキンケアの三本柱
スキンケア。女性にとっては極めて重要な課題です。
乾燥肌でカサつきが気になるという方も多いでしょう。
乾燥が特に気になる冬場は特にだと思います。湿度が増してくるシーズンになると、今度は紫外線が気になるわけで、なんだかんだでオールシーズンで季節に合わせてケアしていくのが大事です。
スキンケアの基本は、適度に衛生的に保つこと、紫外線を避けること、そして保湿をすること。
肌の健康に必要なのは、この3本柱です。
日焼け止めは秋冬でも必要
毎度毎度口を酸っぱくして言っておりますが、それだけ大事なのです。
もちろん運動やストレス、飲酒喫煙などの生活面も大きな要因になりますが、さておき。
冬場であればグリセリン多めの化粧水で保湿力をあげたり、夏場なら汗で流れる前提でこまめに日焼け止めを塗り直してやる必要があります。
また、日焼け止めに関しては、夏場はもちろん紫外線が弱まる秋・冬場であっても必要です。
紫外線が弱いうちに、夏場の強烈な紫外線で負ったダメージを回復させてやらなければなりません。そのためにも、ちゃんと日焼け止めを使った方がいいです。
化粧水は自作がオススメ
多くの人が化粧水や乳液に、何万円もお金をつぎ込んでいますが、基礎化粧水はほぼすべて自作できます。もしくは皮膚科で処方を受けることができます。
具体的な作り方は別立てで記事があるので関連記事から詳細をご覧いただくとして、基本は精製水500mlに30ml程度のグリセリンを混ぜてやるだけでOKです。
保存性は高くないので冷蔵必須、かつそれでも3週間くらいを目安に使い切ってしまいましょう。コストは安いので、フェイスケアだけでなくボディケアにも、ジャブジャブ使ってしまうのがオススメです。
精製水が手に入りにくい場合は、グリセリンを小分けにしておいて、数滴手にとって少量の水道水で伸ばしてパシャパシャ使う、というのでも良いです。水道水の場合は雑菌の繁殖の観点から保存はダメなので、この場合は使い切り前提です。
乳液は原則不要!
さて、乾燥肌といえば、特に顔と手、そして足の乾燥に悩んでいる方が多いと思います。
化粧水とくれば、次は乳液。どんな乳液を使っているのか? どのメーカーが良いのか?
気になる方も多いでしょう。しかし、まず第一に、乳液は原則として不要です。
乳液への誤解・乳液の中身
「ええっ、乳液がないとカサカサになっちゃうじゃない!」
と、思われるかもしれません。誰が使い出したのかまったく不明ですが、「化粧水の次は乳液」がスタンダードだと思っている方も多いでしょうし、実際そのようにケアしている方も多いでしょう。
しかし、そもそも肌の状態がきちんとしたものであれば、乳液はいらないのです。
乳液というのは、界面活性剤やアルコールなどで油と水を混和させた(乳化させた)もので、油脂の種類は様々で、安い物であれば液体パラフィン、高級なものだとスクワランオイルなどが入っていますが、ここまでして肌に油を塗らないといけないのでしょうか。
乳液が必要な肌は根本的にケアが足りていない
乳液は要するに肌に油分を足してやるものな訳ですが、通常の状態の肌であれば、皮脂だけで十分に足ります。
乳液を塗らないと乾燥してしまうような肌はそもそも皮脂不足で、これは洗い過ぎなどが原因だったりしますが、正常な状態から遠ざかっていると言えます。
化粧水だけで保湿が出来ない人は、まずはゴッテリと化粧を塗るのをやめて部分的なものにすべきでしょう。
お肌にも休日は必要
ぶっちゃけた話、肌に一番良いのは化粧せずすっぴんで過ごすことなわけですが、実際はそうもいきません。
仕事柄、化粧は必須で外せないという方も多いでしょう。なので、バランスをとった次善の策としては、化粧をしない「お肌の休日」を作ってやることでしょうか。
化粧をするということは肌に負担をかけているという点は意識しておくべきです。
まして、化粧を落とさずにそのまま寝てしまうとか、そういうことを繰り返していると、肌が休む時間・・・皮膚が再生する時間が取れず、肌の状態は悪化していきます。
お肌の休日は洗浄も控えめにする
お肌の休日を作ったら、顔を洗うのは水でだけにして、自分の皮脂だけで保湿できるようにすることが一番大事です。
もちろん、最初に触れた通り、清潔に保つことも大事です。大事なのですが、洗い過ぎも良くありません。
化粧を落とす時はガッツリ洗わないといけませんから、化粧をしてない日くらいは洗顔料による肌の負担も減らしてやりましょう。
この辺もやはり別で記事にしているので、気になる人はそちらもご参考にどうぞ。
肌の保湿は、外から足したグリセリンだろうがスクワランだろうが、人間の皮脂と肌の常在菌の働きにより作られたナチュラル・モイスチュアライジング・ファクター(Natural Moisturizing Factor)には勝てません。
翻って、皮脂や常在菌を全部洗い流してしまって肌を不毛の荒野にしてはならないのです。
ひどい乾燥肌の場合は皮膚科での治療を受けよう
そして、こうした家でできるケアをしても肌の状態がよくならない、という場合は、皮膚科にかかって適切な治療を受けるべきです。
上から乳液を足して乾燥を誤魔化すのは対症療法的であり、得策ではありません。
根本的に肌が異常事態を起こしているのだから、専門家に見てもらって、時間をかけて解決すべきです。
ひどい乾燥肌であれば、ビーソフテンローションのようなヘパリン系保湿液なんかが処方されることもあります。
ただしニキビのような吹き出物は悪化する場合もあるので、やはり専門医に診て貰うのが良く、ニキビの薬も市販薬は処方薬の足下にも及ばないものばかりなので、肌にあった薬をもらってケアするようにしましょう。
美容目的のヘパリン処方はNG・市販品を買おう
なお、ヘパリン系保湿液はビーソフテンローションとほぼ同じ成分の類似品が第二類医薬品として市販されてもいます。
美容目的で皮膚科に行ってこの手の保湿液なんかを処方しろという連中もいますが、目的外処方なのでアウトです。
本当に病気で必要な人に行き渡らなくなりますし、こうして普通に類似品が売られているのですから、美容目的で使う場合は処方ではなく市販品を買いましょう。
著者紹介
作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
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