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学校の教科書では教えてくれない!電子レンジでモノが温まる仕組み

生活と科学
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初出:2018/05/15 Vol.276 電子レンジでモノが温まる仕組み
改稿:2024/10/10

Joker
Joker

先生、ちょっと休憩してコーヒーでも飲みましょう。用意しますよ。

くられ
くられ

いいね。MCTオイルと難消化性デキストリンはそこにあるから、ダイエットコーヒー仕様でよろしく。

Joker
Joker

はいはい(ブーン・・・チン! ブイィィィーーーン)。出来ましたよ。

くられ
くられ

いやー、まともに作ると面倒なものが、レンジのおかげですぐ出来る。

Joker
Joker

電子レンジがあれば、プラズマ発生実験も、宝石の作成実験もできますしね。

くられ
くられ

うむ・・・というわけで今回は、電子レンジの仕組みについてちょっとご紹介していこう。

POKA
POKA

電子レンジといえばかの「地上最強のコック」が仕込みをしていたな、あれはスチールウールに・・・

くられ
くられ

それ以上いけない!

科学に大切な「素朴な疑問」

科学に興味を持つきっかけにもなる「素朴な疑問」。

身近なものがどういう仕組みで、どういう理屈で動いているのか、というのは、とても大事なものだと思うのです。

これこれこういうことを勉強だから受験に必要だからとただ覚えさせられるのとではまったく違ってくると思います。

学校教育はもう少し実生活に即した内容で教える必要があります。そうでないと、やはりピンと来ないものです。

動画シリーズ「教科書さん」などでは、その辺を意識して作っている部分もあります。

最近では化学をもっとわかりやすく、学校のカリキュラムなど蹴飛ばしてわかりやすく解説しよう、という「ゼロから学べる!チョーワカル化学」という動画シリーズも始めました。

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電子レンジでモノが温まる仕組み

その辺を踏まえた上で、拙著「アリエナイ理科ノ大事典」の前書きなどで「電子レンジでどうしてモノが温まるのか、その仕組みさえ、学校の教科書には載っていない」といった事を述べました。

しかし、ツッコミを入れておきながら、よくよく考えてみると自分の本でも解説はしておりませんでした。

日頃から意味不明な実験なんかでふざけてばかりですが、たまにはまともな事もと思いますので、今回は電子レンジでモノが温まる仕組みを、わかりやすさ優先で解説していこうかと思います。

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マイクロ波で水分子を振動させる

たぶん多くの人が「電子レンジの中では電波で水分子を振動させて加熱する」というくらいは知識があるかと思います。

電子レンジの中で使われている電波というのはマイクロ波という波で、波長的には赤外線のさらに向こう側の波です。

そういう意味では光(可視光だけが光にあらず)なわけですが、非常にエネルギーの強い波なので、分子を揺らすことができるわけです。

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マイクロ波の波長

この揺らす・・・というのは何が起きてるかというと、例えば水はH2Oで、その水には電気的にプラスの部分とマイナスの部分があります。

このような偏りのある液体を極性溶媒というのですが、極性がある物質にマイクロ波があたると吸収されます。

しかも、電磁レンジに使われているマイクロ波は1秒間に24億回も極性が反転、つまりプラスとマイナスが逆になります。

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熱エネルギーの蓄積

つまり、分子を寄せては突き飛ばすということを行うので、分子自体のエネルギーが蓄積されていき「熱」となるわけです。

いささか極論的で語弊もあるのですが、わかりやすさ優先で「熱」というものが何かと説明するのなら、それは「分子の振動の度合い」だと言えます。

絶対零度がすべての原子の振動が止まった状態であり、そこから「振動の度合い」を「温度」として我々が認識しているわけです。

電子レンジと温度・・・というだけで、これくらいモノが見えてくると、よりいろいろなものが面白く見えてくる・・・かもしれません。

またこの辺の事を詳しく知っていくと、電子レンジを使った実験などにも辿り着く訳です。

今回は極めて簡略な説明でしたが、興味を持つきっかけになれば幸い。

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電子レンジで宝石を作る

科学動画でも電子レンジを使った回があります。

電子レンジを使ってプラズマを発生させ、その2万度にもなる高温を使って宝石・・・ルビーを作りました。

信じられないような超高温も、ちょっとした工夫でご家庭レベルの家電製品から生み出す事ができる。実際に実験して見せるかどうかまではともかく、学校教育にはこういった切り口も大事だと思うんですよね。

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電波・電磁波の解説動画

さて、冒頭でもちょっと触れましたが、動画として「教科書さん」シリーズを展開中です。そこで、電波、電磁波について触れた回があるので、ここでご紹介しておきます。

マイクロ波も電波なわけで、記事中で「24億回も極性が反転」という話をしてますが、これが波長の話であり、より正確には電子レンジは2.45GHz帯を使っている、ということです。

なお、マイクロ波自体は、周波数が300MHzから300GHz(波長が1mから1mm)の電波と、結構な幅があります。この中で電子レンジに原理的にも法的にも適しているのが、2.45GHz帯だということになります。

こうして紐解いていくと、無線LANで5GHz帯が使われる前からある2.4GHz帯なんかは電子レンジと周波数帯が近く、その昔「電子レンジを使うと干渉が起きて無線LANの速度が低下する」みたいな現象が起きたりしたのは、ここに関係があったりします。

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著者紹介

くられ
くられ

作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku

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また、電子レンジと同列にエアコンの仕組みも本の前書きで触れたことですが、仕組みの解説は以下で少々。

お手軽ダイエットコーヒーもレンチンあってのもの。科学の力は偉大である。

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