初出:2016/06/21 Vol.177 セックスは手段か目的か(不定期連載:生物学的な性)
先生、今日はまた随分と踏み込んだ、明け透けな話ですね。
まあ、そうなんだけど、本来この程度の事は学校の性教育で教えるべきだと思うんだよね。
確かに、多感な時期にこそ、知っておけばすれ違いを防げる部分はありますね。
恋愛はロジックじゃないというし、その通りなんだけど、ロジックな部分がまったくない訳じゃない。
人によりけりですけど、打算ゼロってことはないでしょうしね。
そういうこと。そしてそれは、別に悪い事じゃないんだよね。
セックスは恋愛の目的?手段?
あくまで一般論ですが、男はセックスが恋愛において目的なのに対して女性はセックスを恋愛の手段であると考えている・・・という話があります。
もちろんその逆の男女もいますし、そうでない人も多いと思いますが、種を残すという生物学的なアルゴリズムでいえば、オスは交尾して種付けしてしまえば次のメスを探した方が有利ですし、メスは、魅力的なオスをゲットするために交尾を焦らして吟味するのが得といえます。
そして、人間の男女でもよくあるのが、彼氏とセックスしたとたんに冷たくなった・・・とか、彼女は付き合いだしてから、あんだけ誘ってきたのが嘘のように淡泊になった・・・という感じの話になるわけです。
これが結婚してから発動すると、嫁は旦那を冷遇し、旦那は浮気に走るわけです。そして旦那の周りに他の女の影が見えるだけで発狂して、次第に気持ちは離れていき・・・みたいな安い昼メロのような展開になるわけです。ドラマならともかく現実に発生すると悲惨。
故に夫婦円満の秘訣はセックスをきっちりすること・・・という話は、家族相談系の本でもはやテンプレのように語られることになるわけです。
セックスを重く考え過ぎるのも得をしない
基本的にセックス自体は人間の世界において、スキンシップの1つです。
なんか語弊がありそうな感じですが、別にフリーセックス万歳とか、みんなヤっちゃえヤっちゃえと言うわけではないんですが、あまりにも性を重いものと考え、中には人生の切り札くらいに考えるのはいかがなものかと言うことです。
それが重荷になって人生自体を生き辛いものにしてしまって自縄自縛に陥ってしまっては本末転倒、酔生夢死な人生を歩む原因にもなりかねない・・・ということで「適度に軽く考えたほうが良い」という意味です。
セックスというのは身体を重ねるほど「仲が良い」ことを前提としたものですから、無理してする必要もないわけなのですが、あくまでそのくらいの気持ちで考えておいた方が得なことが多いと言えます。
例えばある夫婦がいて、双方がお互いを監視しあって、互いに寄りつく異性を排除しあう仲であるが互いに性的な関係が無い・・・というのと、性に対しては大らかで、お互い異性にモテモテだけど一番はもちろん配偶者だよ!という夫婦ではどちらが「健全」でしょうか?
あくまで極論のサンプルとして紹介しただけなので「どっちもあかんがな」という意見もあるでしょうが、ともあれ、世の中には婚約者がいたら、もう別の異性とは会話してもNGという、これなんてどっかの宗教の原理主義やねんみたいな人が数多くいます。
確かに、せっかく良い仲になった相手を手放したくない・・・と考えるのは生物学的には自然ですが、我々は大脳新皮質を発達させた知恵ある人間という生物です。
そこを本能で片付けるのではなく、相手を尊重したり、逆にお互いに律して悪癖を直したりして良き男女仲になるために努力できる間柄・・・を選ぶ必要があるのだと思います。それを早めに見つけるためにもセックスを奥の手にしてしまうと良い異性を見つけることはできないとも言えます。
お互い身の丈に合わないカップルの破綻率は高いわけです。
異性との距離の取り方の勉強
魅力的な相手のために、自分を魅力的にする努力をする・・・というのが、ともあれ一番最優先であり、異性との距離の取り方を勉強するのは、若いうちにできて、年をとると極端に難しくなるモノの1つだと思います。
学生時代というのは同年代の異性が山盛り居るのが当たり前ですが、ひとたび社会に散ってしまうと、異性の出会いは本当にびっくりするくらい少ないものです。職場によってはゼロに等しい場所もあります。
そして年齢が上がるにつれて、「いい人」の既婚率はどんどん上がっていき、自分の若さという動産は失われていくばかりなわけです。
別に生涯配偶者を持たずに幸せに暮らす人もいるので、何が幸せであるか不幸であるかなんてことは一概には言えないのですが、幸せな人をみて嫉妬する気持ちが少しでもあるなら、人の足を引っ張る前に自分磨きをするのデス! 鳥になるのデス!
次回は、彼氏彼女になった後に陥りやすい性差の罠について。お楽しみに。
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