初出:2013/06/11 Vol.20 若さはどこにあるのか? その2
科学的に見る若さの話、今回は「若さと血液」がテーマである!
血液を綺麗にすれば若返るってことでしょうか、先生。
たぶんそうだけどそんな都合の良い方法はないんだよねー。オゾンで洗っても綺麗にはならんし(笑)
ところで先生、今日は妙にメカメカしいですが、どうしたんですか?
バックアップ用のクローンを急速培養中なので、ちょっとPOKAに頼んで義体を調達してきた。
いつまでもカマキリのままではまずいですもんね(前回参照)。
この義体、自爆スイッチが付いてそうで怖いんだけどね・・・
オチ召喚!スイッチオン!
若さと血液の関係
科学的に見る若さの話、前回は前置きとしてテロメアと寿命は無関係という話をしました。今回は予告通り、「若さの根源は血液にあるのではないか」という話をお送りします。
さて、若返り・・・アンチエイジングに関しては、色々と研究がされており、その上で若さと血液に関係があるのでは、という話なのですが・・・
「血中にある若さの因子とは何なのか?」と具体的に言われると、これが実はあんまり分かっていません(笑)
性ホルモンの量であるとか、ビタミンDの量であるとか、メラトニンの分解物やら、終末糖化化合物(AGEs)、活性酸素の量やら、様々な話がてんこもりもりです。
結局のところ、わかりやすく「コレ」というものは見つかっておらず、結論としては「色々あるけど要するに全部」という非常に大雑把な話になってしまって、どうやらそれが、体が自分の年齢を把握するのに使われている、という感じです。
その上で、話が大枠になってしまうけれど、「若さと血液」には関係がある、のだと思って頂ければ。
血液にまつわる代替医療にご用心
では、血液がどういう状態になれば、「若い」と言えるのでしょうか?
先ほど挙げたものを踏まえて説明するとしたら・・・
血液のホルモンレベルを若くして、AGEsやコレステロールなどの老廃物を除去し、活性酸素を減らすビタミンを増やす・・・と、こんな感じで血液を都合良くクレンジング出来れば若くなることは不可能ではないでしょう。
まあ、そんな都合のいい技術は存在していません。それこそドラキュラ伯爵だの現代のエリザベート・バートリーって感じで、若い乙女の血を毎日点滴するとか・・・いや、無理がありますよね、普通に考えて(笑)
などと言っていたら、効果があるかわからないのに「若者の血しょう(血液の成分)を注入して若返ろう」などという療法を行うクリニックが出てきていて、アメリカのFDAが警告しているそうです。怖っ!
ところで、ここで血液のクレンジングが云々・・・と言いましたが、しばらく前に「血液を抜いてオゾンで洗浄して戻す」などという、血液クレンジング、オゾン療法なる非常にヤバい商売が話題になりました。芸能人が利用してるだのなんだのでまことしやかに宣伝されてた奴ですね。
これはトンデモ代替医療です。真っ黒なドロドロ血液がオゾンの力でサラサラの赤い血液に?
普通に呼吸すればいいじゃん。「はたらく細胞」でも読みましょう(笑)
騙されないように注意しましょう。効果がないどころか、危険です。
AGEsとは何か?
さておき、今回はここまで述べた若さと血液にまつわるファクターの一つ、AGEsについて取り上げようと思います。
AGEsとはadvanced glycation end products、直訳すれば終末糖化物質というわけで、なんのこっちゃという感じになりそうですが、何のことは無い糖分とタンパク質が結びついたゴミみたいな物質で、加齢と共に血中濃度が増えていることが分かっています。
じゃあこいつを減らせば若返りに一歩近づくのでは・・・といろいろ研究された結果、アミノグアジニンという極めて安い化合物が1日150〜300mgの投与でAGEsを血中から減らすということが確認されました。
要するに、この薬は血液年齢を若返らせる!!・・・と期待されたのですが、肝障害を始めビタミンB6欠乏症(免疫力低下、貧血、にきび、痙攣様々)諸々の副作用がてんこ盛りで、なおかつ、全然若返らないというおまけが付いて研究はストップしています。
どうやら、アミノグアニジンでは、正直なところ目立ったアンチエイジング効果が出る前に、副作用が上回るだけ・・・といった感じなので、手を出さない方が賢明でしょう。
ただ、やはりAGEsは減らすに越したことはないと、ドイツのメルク社が社運をかけて研究中の新薬は臨床段階では、それらの副作用をなしにAGEsを減らすことに成功しているので、もしかするとワンチャンあるかもしれません。
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