初出:2013/06/25 Vol.22 若さはどこにあるのか? その4
先生、いつも「運動は〜〜」って言ってますが、他に比べて重要度高いのはどうしてなんでしょう?
端的に言えば、人間の仕様が「運動をする」前提で成り立ってるからだね。
動かないで食べ物を得られる状況がイレギュラーってことですか・・・
ちょっと乱暴だけど、概ねそんな感じじゃないかな?
なるほど・・・そういえば、しれっといつも通りに戻りましたね、先生。
クローンの増殖が止まらなくてちょっと数を減らす羽目になったけどね・・・
久宝さん状態!
健康と美の本質
科学的に見る若さの話、前回は若さと健康は表裏一体、そしてその健康を維持増進するためにはどうすれば良いのかをお送りしました。今回はそれを踏まえた上で、もう一歩踏み込んでいこうと思います。
さて、薄々みんなが気が付いているけど直視したくない、健康と美の本質。
運動、食生活、睡眠、まずこの三本柱が最重要、大前提としてあります。それに続く形で、外科的処置、内科的処置と続く・・・というのは前回ご紹介した通りです。
こういった基本を押さえた上で、スキンケアや美容整形なんてのも視野に入ってくる訳です。
とりわけ、運動に関しては、きちんとしていれば、多少、食生活や睡眠がないがしろであっても、健康になります。
故にこそ、毎度毎度しつこく「運動はすべてを解決する!」と宣っている訳でして・・・これはお題目ではありません。これは、100年もない西洋医学の歴史はもちろんのこと、何千年と続いている東洋医学においても、運動不足は不健康に繋がるとされています。
話題になったメタボや、運動不足で要介護老人になるかも・・・というロコモシンドロームの話など、これらも運動をすれば解決する話です。
なぜ「運動はすべてを解決する」のか
このように運動はとても重要な訳ですが、なぜそうなのかというと、人間がどう進化してきたかに絡んできます。
人間はもともと、肉体労働をして栄養を得ていました。数多の食糧難を生き延びてきた我らがご先祖様は、脂肪という形で体に栄養を蓄えるように進化をしました。
だからこそ、サバイバル環境下に置かれたとしても、とりあえず水分を取っていればしばらくは生き延びられる訳ですし。
しかしながら、現代の環境のように、さして体を動かさずに、労せずしてハイカロリーなものが得られるようになってくると、飢餓に備えるこの体質が裏目に出てしまいます。
体の方は、食える時に食っておけとばかりに、栄養を無限に体に蓄えようとします。これが肥満です。
筋肉によって体重が増えるのはともかく、脂肪が増えすぎてしまうと、体を動かすのも大変になり、運動不足に陥って筋肉量が低下、重いものひとつロクに運べない、などという事になります。
筋肉が少なくなると運動ができない、運動ができないからますます太る、といった悪循環もよくある話でしょう。
これらの話を総合すると、つまり、人間は仕様として運動をするのが当たり前になっている、ということです。
つまり、当たり前に健康でありたいのなら、当たり前の運動をきちんとしなければなりません。そして、悪循環の話も、裏を返せば、運動をすればするだけ、筋肉がついて脂肪が減り、そうすると動きやすくなるからさらに運動がしやすくなる、という好循環も可能だという事です。
カロリー消費の誇大広告の大嘘
とはいえ、そうは言っても、日常的に運動するのは大変ですし、なかなか時間が取れない事もあるでしょう。
そこで当社が開発したこのサプリメントのメラメラパワーで脂肪を燃焼・・・
・・・ぬぁんてできっかボケナス。飲むだけで脂肪が消えるってことは、熱に変わるってことだろうに。
CMでやってるような、90キロの体重が一週間で17キロも減ったとか、科学的に考えるとメチャクチャです。
脂肪1gは9キロカロリーなので、ざっと計算して、15万キロカロリーはいったいどこに消えたというのでしょう?
一週間で? 15万キロカロリーを消費? いやいやアリエナイ(笑)
一週間でこれなので、またまたざっくり計算すると一日あたり2万キロカロリー以上消費しなきゃなりません。体温が沸騰通り越して燃え出すわ。それなんて人体発火現象?(笑)
体重や男女差もありますが、成人の一日の消費カロリーは約2千キロカロリー、これは実際に熱として出たと仮定していますが、実際は細胞の再生や能動輸送など、様々な生理に使われますが、それでも一日で2万キロカロリーは人間では使えません。
そんなことが可能なのはトリコの世界くらいです。
トリコみたいにカロリーを消費できたら食い放題なんでしょうけどね。あれはあれで燃費悪いから常に食ってなきゃいけないわけですが・・・そもそもトリコだってめっちゃ運動してるしな・・・
それはさておき、中学校の理科で習う程度の計算で、この手の嘘はアリエナイというのが瞬時にわかる訳です。
・・・まあ、こういった誇大広告はともかくとしても、もう少し現実的なラインで、薬でなんとかできないのか、というのの答えがかの「デッドリーダイエット」だった訳なのですが・・・
それはともかく、科学的に見る若さの話、最終回となる次回では、この辺を薬理学の面から無理矢理サポートしてしまうアレな薬の話なんかにも触れてみようと思います。
関連記事
前回の記事はこちら
連載「科学的に見る若さの話」記事一覧はこちら
「ロコモシンドローム」の記事一覧はこちら
「運動はすべてを解決する」・・・運動に関しての記事一覧はこちら
誇大広告も多い「サプリメント」に関しての記事一覧はこちら
「ダイエット」に関しての記事一覧はこちら
なお、冒頭の茶番のネタ元は、例によって「フランケン・ふらん」です。第二巻を読めばわかります(笑)。
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