初出:2015/03/24 Vol.112 俺日記
改稿:2024/04/13
フリーランスは毎日が日曜日で営業日!
自分でオンオフ付けないと営業時間と自由時間の区別がなくなるって話ですね。
うむ。この辺の時間感覚は、時にサラリーマンには理解してもらえない事がある。
ああ、打ち合わせとかなんとか、とにかく会って話そうって人いますね。あと電話かけまくってくる人も。
必要なものは仕方がないけど、割り込みを食らいまくると本当に仕事が進まない。電話なんか大嫌いだ。
メールやメッセージなら好きな時に返事できるから助かります。
というわけで、今回はその辺の感覚の差異というものの話をしよう。時々、話を聞くだけ聞いてネタだけ持っていくようなどうしようもない輩もいるが、本当に絶滅して欲しい。
はっはっは。そういう無礼な奴は「消毒」してやれば良かろうなのだ!
先生方、もっと穏便に・・・そんなのに時間の無駄遣いする方がもったいないですよ。
フリーランスの「時間感覚」
自営業者、今風に言うと「フリーランス」の時間感覚というものに、今回は触れていこうかと思います。
世の中には学生や会社務めの人、パートタイマー、そしてニートや無職と、いろいろな業種の人がいますが、その中でフリーランスで活動している人・・・「自営業者」「自由業」という業種は勤め人、いわゆる「サラリーマン」とは根本的に「時間の感覚」が異なります。
時間感覚の違いがトラブルの元に?
そして優秀な社会人ほどこの「時間感覚の違い」を理解していて、無能な人ほどこの違いを理解していないのでトラブルを起こしがちです。
自分も泡沫の文売業だが、それなりにいろいろな会社の人と仕事をさせてもらっている。
その中で出会う人が優秀かどうか、信用出来るかどうか・・・を見抜くのに一番手っ取り早いのがこの時間に対する認識じゃないかとも思っています。
かつては自分も会社員であり、なかなか、この当たり前のことに気が付かなかったので偉そうには言えないのですが、はてさて、一体全体この「時間の感覚」の差異というのはなんでしょうか?
営業時間と自由時間の観念
フリーランスには「時給」がない
自営業者と会社員の決定的な違い、それは「時給の有無」です。
なんだ、当たり前じゃないかと思った人は、本当の本当に意味が分かっているのでしょうか?
自営業者は1日、24時間、その全てが営業時間であり、自由時間です。
特にフリーランスでやっている作家業の人などはその通りで、その人の時間というのはすべて営業時間になり得る時間であるということ。
よく言うように、毎日が日曜日で営業日なのです。どこで休んでどこで働くかは自由な訳ですが、何かしら成果を出さないと稼ぎにならない訳です。
サラリーマンは営業時間と自由時間の違いがはっきりしている
一方で、会社員は就業時間に会社で仕事をして、その対価として毎月の給料をもらいます。
中にはブラックな感じで、みなし残業を悪用する形で給料の発生しない労働をさせられたり、休日であろうと営業電話がかかってきたりと、そういう事例があるのは言わずもがなですが・・・それはさておき。
会社員は会社に拘束されて給料が発生する営業時間と自由時間がきっぱり別れているのです。
しかし、自営業は営業時間と自由時間の境目がありません。その人が起きている時間はすべて「営業時間となり得る」という事です。
「ちょっとお時間良いですか?」
もちろん、同じ自営業でも、昼と夜の別なくしゃにむに働いて薄給しか得られない人から、サササッと仕事を終わらせて自由時間を満喫しつつ、平均的な会社員より遙かに稼ぐ人まで様々です。
しかし、この「境目がない」という原則には違いがありません。
ここで、会社員が「ちょっとお時間良いですか?」と要領を得ない長電話をしてきたり「ちょっと実際にお会いして打ち合わせをしましょう」と、別にメールやメッセージや一言電話で済む程度の話で、気軽に会社に呼びつけたりするのは、どうでしょう?
自営業者の時間を奪うのは稼ぎを奪う事
会社員の側は、それで給料が出ているし、打ち合わせで移動する事になっても交通費は会社持ちです。
が、自営業の側は、そうやって時間を無駄にされるとそこで得られるかもしれなかった稼ぎがなくなる次第。交通費も自腹だし。
自営業者が、メールやメッセージで済む事はそれで済ませて欲しい、というのは、コミュ障だとかそういう訳ではなく、無駄な拘束時間を嫌うだけの話であり、そしてメールやメッセージに返事をするのは、自分の都合のいいタイミングで返事ができるので、何かと都合が良いのです。
「怒られない」=「許された」わけではない
こういった原則を踏まえてみると、仕事上のやらかし案件にしても、違った視点が見えてきます。
例えば、仕事上で大失敗をやらかして、説教を食らっている構図を考えて見てください。
これが会社員であれば、叱られている間も給料が発生する訳ですが、自営業者の方は0円な訳です。
故に、賢い自営業者ほど、争いを好みません。これは経営上当たり前の判断な訳です。
もちろん、繰り返されても困るので自営業者だって注意はしますし、連絡に不備があったら正そうとしますが、たまにアンポンタンが「どうも怒ってないようだし、許されたみたいだ。良かった良かった」って感じで同じ間違いを繰り返したりします。
これは致命的な勘違いです。
怒らないのは時間の無駄だからである
怒らないのは時間の無駄だからに過ぎません。そういう部分で改善が見られない人間は無能扱いされます。
会社員で上司部下の間柄であれば、部下の成長のために怒ったり叱ったりもします。たまにパワハラ案件もありますが、基本的にそれは、回り回って会社の利益になるからであり、そしてそこに給料が発生しているからです。部下の育成も上司の仕事の範疇だし。
一方で、自営業者からすれば、そこまでしてやる理由がない。取引先として不適格だと判断したら、そこでフェードアウトです。
何が悲しくてお金にもならないのに取引先の社員教育をしてやらねばならないのだ、という、これはそういう話です。
専門家への質問は本来、対価が必要である
時々、Twitterなどで、どうでもいい質問を自営業者にぶつけて、相手にされないと怒り出す人なんかもいますが、これも当然の理屈です。
何が悲しくて一円にもならん時間を、誰ともわからん面倒な相手に割かないといけないのか。
考えれば考えるほど、当たり前の話だと言えるでしょう。
また、作家をはじめ、自営業、フリーランスの人同士は、この原則が骨身に染みているので「相手サマの時間」を「自分ごとき」が奪ってしまうのは・・・と、過度に恐縮してしまって、ちょっとした集まりに誘うどころか、電話をすることさえ躊躇ってしまう、と逆のジレンマが生じる訳ですが・・・
とにもかくにも、こうした「相手の時間」を理解することも「人の距離」をうまく考える上で大事なのではないでしょうか?
追記:リモートワーク時代と時間
この記事の初稿は、2022年現在から見て数年前となります。
もちろん、今も原則は変わらない訳ですが、諸般の事情でリモートワークというものが推進された結果、随分と時代も変わったものだと思います。
何でもかんでもリモートで、というわけにはもちろんいかない訳ですが、しかし、会議程度ならリモートで事足りるということはハッキリしました。
これからの時代、例えコロナ禍が収束したとしても、仕事の効率化という観点からもリモートワークはある程度は定着することでしょう。
この辺を踏まえた上での「時間の使い方」というのを考えてみてもいいのかもしれません。
著者紹介
作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
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