初出：2018/12/04 Vol.305 本の裏話 同人誌と商業誌
改稿：2022/04/25
今日は書籍の利益の話ですか・・・夢の印税生活！ とか出来たらいいですよね（笑）
何十万、何百万部と売れればいいんだけどねー（笑）。まあ今回は、書籍と利益の仕組みの話をちょこっとしようかと。
最近は電子書籍なんかもありますし、私も作った事がありますが、今回は紙の本の話ですね。
うん、まずは紙の本の話をね。まあ、電子書籍にも思うところはあるけど。
読み放題サービスとかですね。私も思うところはあるんですけど。
まあ、ラジオでもちょっとだけ触れた事があるけど、この辺いろいろあって、ポータルを作る話になった訳だしなー（笑）
本の裏話
これでも自分は、今までにいくつもの本に携わってきました。商業誌も同人誌も出しています。
だからという訳ではないですが、知らない人も多いであろう、書籍と利益の仕組みというものを、今回はお話しましょう。
本というのは、ご存じの通り紙に印刷されたものです。
今でこそ電子書籍というものがありますが、Amazonが圧倒的なシェアをとったおかげで利益が全然出ないものになっているのは知られた話です。
なので、自分は応援する漫画は必ず読み放題では見ずにお金を払うようにしています。
商業誌・同人誌の利益
まぁ、そんな舞台裏はともあれ、本というのは、現在の価値観からすると、いろいろおかしな点がいっぱいある、落ち目のメディアです。
商業誌の、作家に入る利益は印税で、本の価格の10%です。最近ではそれ以下も珍しくありません。
せっかく本を作っても、利益はたったの10％しかないのです。500円の本を1万部で、ようやく50万円の利益。
商業誌の場合、印税は純粋に売れた数ではなく印刷した部数に対して計算される訳ですが、最近は初版が絞られるので、結局のところ、売れて増刷がかからないといかん訳です。
夢の印税生活は可能なのか
まあ、これが、大ヒットして累計数百万部とかになれば、印税だけで億に届くので、夢も希望もない、とは申し上げません。
申し上げませんが、現実は大変シビアなのです。故に、最近は「書籍化したけど売れてくれないと続刊はないです！」みたいな話になります。
一方で、同人誌なら50万円の利益を出すなら、500円の本が1000部売れるだけで達成できます。もちろん経費は別途かかるので、実際にはもう少し売れないと、という話ですが・・・
この10倍近い収益差を見ると、出版社がめっちゃぼったくっているクソシステムで作者は搾取されている・・・みたいな風潮もあります。
在庫と流通の問題・同人誌の限界
じゃあ同人誌の方がいいじゃん、という話になるかもしれませんが、これは数が少ないうちの話です。
1万部は同人誌でも最近売り出すサークルがありますが、2万3万・・・10万のオーダーになってくると、在庫管理や全国への流通網、そして書店であればどこでも注文できる・・・という、商業誌の持つ強みは、在庫の不安定な同人誌には非常に難しい点があります。
どっさり作ったはいいが売れずに家の片隅に積み上がる同人誌の在庫とかシャレになりません。
商業誌の在庫問題
もっとも、在庫問題は商業誌でも厳しくなりつつあります。
要するに売れない本でも在庫としてある程度備蓄し続けて、売れている本の利益をそちらの販促などを行えれば良いのですが・・・それも難しくなっています。この辺が厳しくなってるので、先ほど触れたように初版が絞られる事になるわけです。
現在、商業出版で利益を出す・・・ましてや満足のいく金額の仕事をするのは至難の業となりつつあります。
言うまでも無く、みんな書店に行かなくなっていますし、読み放題サービスなどで個別の料金が発生しなくなり、「作家」には非常に辛い世界になっています。
・・・どうしてこんなに辛い商業誌の仕事をするのでしょうか？ もっと良い方法はないのでしょうか？
次回は出版業界と表現というキーワードで、同人誌と商業誌の違いを説明していこうと思います。
有害図書指定の闇
次回で表現の自由についても触れているのですが、その辺に関しては「有害図書指定」がなかなかの闇を孕んでいます。動画にもしました。
本記事では「書籍の利益」をクローズアップしているのですが、初版数が絞られている現状、初動が良くなくて増刷がかからないと続刊はなし・・・みたいな状況で、議事録も存在しないような会議で有害図書を食らったりするとどうなるのかは、まあ想像に難くありませんよね。
有害図書指定への思うところは「アリエナイ理科ノ大事典 改訂版」のあとがきで触れています。
あとがきは単体でラジオライフ編集部のTwitterで公開しているので、ぜひご一読ください。
著者紹介
作家、科学監修。「科学は楽しい！」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計5０万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画／アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ！」と１００万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する！」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー１6万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
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今まで出した関連書籍一覧は以下よりご確認いただけます。
冒頭の茶番が気になる人は、「ラジオライフ公式アリエナイ理科ノラジオ Part1」を聴いてみてください（笑）
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