初出:2019/05/21 Vol.329 乳酸発酵の科学 ピンクのザワークラウト
そういえば、昔、くられ先生にザワークラウトを使ったサラダをごちそうしてもらいましたね。
あー、なんだっけ。紫キャベツで漬けた事があったね、そういえば。
普通のキャベツの千切りとかに、彩りで紫キャベツのザワークラウトを載せて、オリーブオイルに塩。あと、サラダ用のシュレッドチーズだったかな。
ザワークラウトの酸味でだいたい良い感じになるからね。普通ので作ると色があまりにも地味になるんだけど(笑)、紫キャベツでやると鮮やか。
で、レシピを思い出して漬けてみたんですが、何か様子がおかしくて・・・
・・・この漬物石、あからさまに怪しいんだけど。
何の変哲もないウラン鉱だが、何か?
ザワークラウトを作ろう
どうも。Jokerです。今回の寄稿のお題は「ザワークラウト」、ドイツのキャベツの漬け物の話をお送りしようかと思います。
こいついつも飯と酒の話してるな、と思われるかもしれませんが、今回は一応、科学にも関係があります。
発酵食品は偉大なる食文化。ザワークラウトは、とてもシンプルな、乳酸発酵を利用した漬け物です。ソーセージに添えて出されたりします。
どんなものかが気になる場合は、まず市販品を買って味を見てみるのも良いでしょう。
ザワークラウトに酢は入っていない
たまにザワークラウトと酢キャベツを混同されている方がいますが、ザワークラウトは「キャベツの酢漬け」ではありません。酢は一切使っておらず、基本はキャベツと塩だけ。
ザワークラウトの酸味は、発酵の過程で乳酸菌の働きによって作られる乳酸に寄るものです。なので、いわゆる酢漬けの、酢酸による酸味とはちょっと違った感じになります。
キャベツと塩だけで酸っぱくなる、というのは「発酵」という現象を体感するのに良い教材な気がします。身近な家庭の科学として、子どもと一緒に作って、食育の一環として・・・なんていうと堅苦しいですが(笑)、面白いかもしれませんし、夏休みの自由研究とかに良いかもしれないですよ。
ザワークラウトの作り方
ザワークラウトの作り方は至って簡単です。漬け物用の瓶を用意して煮沸消毒すれば、後はキャベツと塩があればOK。ニンニクや唐辛子を入れたり、向こう風にジュニパー、ディル、キャラウェイなどを使っても良いんですが、なくても問題ありません。
最初は本当に、キャベツと塩だけで作って感覚を掴んでから、後に好みの香辛料を使って漬けると良いかと思います。もちろん、好き好きですが。
では、具体的な作り方をご紹介しましょう。
キャベツを千切りにしたら、塩もみにして、瓶に押し込んでいきます。塩もみにすることで水分が出て来るので、キャベツ全体がこの水分に浸るように調整。キャベツが空気に触れないようにするのがポイントです。
必要に応じて、手頃な重しで押しをします。塩分はキャベツの量に対して2%ほど。水分が足りない場合は、少し水を足してやりましょう。
後は、夏場なら3日程度、冬場なら一週間くらい常温で保存すると酸味が出てくるので、後は食べるだけ。日本の夏は暑いので、常温と言っても冷暗所(冷蔵庫には入れない)で保存すると良いかと思います。
紫キャベツでピンクのザワークラウト
ちなみに、ザワークラウトを紫キャベツで作ると、発酵が進み酸味が出てくるにつれて、色が紫から明るいピンク色になっていきます。普通のザワークラウトはちょっとぱっとしない色味ですが、紫キャベツで作ると食卓の彩りになって良い感じです。
なぜピンク色になるかというと、これは、紫キャベツに含まれているアントシアニンが酸に反応して変色するから。先ほどちょっと触れましたが、この辺も絡めるとそれこそ小学生の自由研究にはバッチリなのではないかと思います(笑)
この辺、動画でねるねるねるねを魔改造したり、レモンを入れると(酸性になると)色が変わる飲み物なんかと、理屈としては同じです。
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