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ヘルドクターくられの「俺コラム」:物語の「おもしろさ」とは何か

リテラシー
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初出:2016/03/22 Vol.164 俺日記
初出:2016/03/29 Vol.165 俺日記
改稿:2024/11/03

Joker
Joker

・・・・・・(ペラリ)

くられ
くられ

いやー、すまんね。サーバーの調子はどうかな?

Joker
Joker

ん、ああ、先生。先ほどチェックして、今は処理待ちです。ところで、おもしろいですね、この漫画。

くられ
くられ

その本棚はお気に入りの漫画をまとめてあるからね。

Joker
Joker

それにしても、学術書や教科書、漫画にしてもジャンルは数多、本当に色々読んでますよね。

くられ
くられ

まーねー。おかげで本棚だらけなのだが・・・まあ棚は固定してあるし、地震があっても大丈夫・・・(ドバァァァアアアン!!)

POKA
POKA

はっはっは。いやーすまん、ちと発破の爆薬の量の加減をミスって壁を抜いてしまったな!

Joker
Joker

うわあ・・・壁ごと吹っ飛んだ本棚に潰されてペシャンコですね。先生、大丈夫ですかー?

くられ
潰れ狐

・・・・・・(死〜ん)

POKA
POKA

はっはっは。次逝ってみよう!

漫画を読んでいて思うこと

自分は漫画をよく読みます。

おすすめの漫画紹介なんかをすることもありますが、たくさん読んだ中からの選りすぐりをご紹介するわけで、残念ながら読んでみてつまらなかった・・・ということもたくさんあるわけです。

キャラの設定がブレブレで、行動や言動がコロコロ変わったり、異様に説明が多くて読みづらくテンポが悪いとか、風呂敷を広げるだけ広げたはいいけど壮大に何も始まらず伏線が全然回収されない、etc・・・

とまあ、そういうハズレを引くこともあります。

しかし、自分も物書きの端くれの泡沫端材の切り子であるからして、クソだのツマランだの、言ってるだけでは失格だと思うので、どういう部分がつまらないのか、面白い物語とはなんなのかというのを、漫画を例にとってちょっと徒然とまとめてみます。

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「おもしろさ」の考察

まず、自分が漫画を読んできて気になった部分というのが、以下のような感じ。

  • 風呂敷を広げすぎないこと。そしてちゃんと回収すること。
  • 異能力の設定を作者がちゃんと把握すること。
  • シーンの奇抜さばかりに捕らわれて、キャラの性格人格がコロコロ変わると意味不明になる。
  • キャラの行動に筋が通ってること。

基本的に連載漫画というのは、編集者の意向や読者アンケートなどで、作者の想定外に設定変更が求められることも多く、すべての風呂敷が回収できるかとか、伏線が変とか、性別変わってるじゃねえかとかそういう些細なこと(笑)に関しては大事ではないと自分は思います。

大事なのは「おもしろい」ことで、この「おもしろい」という部分は、人によって本当に感じ方が違うし、善し悪しを数値化することが極めて困難な部分です。

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ストーリーの流れが阻害されていると評価されにくい

以前、ハリウッドがそれを試みて、ストーリーを半ば自動で作るプログラムにのって、脚本を作るという実験をしていたのですが、見事に「どっかでみた」既視感満点のゴミが出来上がる使えないプログラムという評価が大半でした。まぁ素晴らしいという人もいるので、なんとも言いがたいですが(笑)。

漫画に関して言えば、「どんな話か」ということが、ぼーっと読んでいるだけで分かり、登場キャラのアクションや行動に感情を乗せ「意外な展開」と「結末(オチ)」を経て読後感に至る。

故に、まずはこの一連の流れが阻害されている漫画は評価されにくい。

面白いんだけど、何が起こってるかわからない漫画というのはこの「読んでる」感から「読まされている」感になってしまうので、物語の世界に没入しづらいのです。

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「おもしろい」感につながらないアレコレ

多すぎる台詞、さらには物語の大事な部分をそういう台詞やト書きでみっちり説明することは、あまり「おもしろい」感に繋がりにくい。

もちろん「説明しよう!〜〜民明書房刊」的なあえて読ませることでおもしろさを出す場合もあるが、それでも見開きで、びっしりと文字が埋め尽くされているとかはあってはならないと思う。

また、奇抜な展開をさせたいばかりに、キャラクターがその場限りの行動を取るようになると、人間性が薄くペラペラになっていくでしょう。そのキャラが、まるで指人形で動かされているかの如く、です。

その上、その時々の都合で、やはりその場限りの感情を爆発させていると、それこそ感情移入なんてできません。ワケワカラン痛い人にしか見えないからです。

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キャラクターという人格に宿る信念

キャラクターという人格は、信念がないと途端に薄っぺらくなる。

つまりそういうことなのですが、例えば、ミステリー&アクションという難しいテーマで続いている、ジョジョの奇妙な冒険シリーズでは、圧倒的なインパクトのデザインと、登場人物の「信念」がぶつかるドラマが見られるからこそ、いろいろな矛盾や設定がおかしな点があっても、そんなことは些細な問題になる。

要するに「おもしろいからOK」だと言えるわけです。

重箱の隅はつつき出したら、ヘルシングのアンデルセン神父のバヨネットはどこから出てきてるんだよとか、アーカードが弾切れしないのはなんでとか、そういうどうでもいい話になります。

それは「おもしろさ」とは無縁の場所なのでフィクションである漫画が「おもしろい」上では無視されるし、気がついてもツッコミ無用の領域になるでしょう。

とまあ、そんな風に思うのです。

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科学監修を通して思う事

さて、そんな自分ですが、読者としてだけではなく、「Dr. STONE」など、科学監修として関わらせてもらってきました。

そうして思う事は、設定としての「科学的な正しさ」はあくまで作品のおもしろさを補佐することが本分であり、そのおもしろさを阻害してしまうのではまったく意味がないということです。

この辺「おもしろいからなんでもOK」であっても、やはり監修する上で気にしている部分です。「フィクションと現実の温度感」、この温度差というものがあります。

科学的に正しくなくてもおもしろければそれはOK、だけど、漫画の設定上作り上げたその漫画でのルールを自分で破ったりしてしまうと、軸がブレておもしろくない要素になりかねません。守らなければならない部分もあるのです。

とまあ、そんな事は「アリエナクナイ科学ノ教科書2」でも触れている事なので、気になったらぜひ読んで欲しいんじゃ(笑)

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著者紹介

くられ
くられ

作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku

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