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【出版業界のリアル】その2:夢の印税生活? 著者に入るお金の実情

リテラシー
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初出:2017/10/24 Vol.247 俺日記

くられ
くられ

というわけで、出版業界事情、第二回である。今回は著者の懐事情についてだ。

Joker
Joker

印税って奴ですね。ドカンと売れてると入ってくるお金もなかなか豪快になるようですが・・・

くられ
くられ

まあ、現実は初版部数が絞られたり、印税も減らされたりで世知辛い感じよね。

Joker
Joker

漫画やラノベは厳しいようですね・・・

くられ
くられ

「アリエナイ理科ノ大事典2」とかは、15人の著者でページ割りするので、その利益はお察しください、って感じだしね(笑)。

Joker
Joker

くられ先生は執筆の他にもろもろ取りまとめをやってるから一番割りを食ってますよね・・・

くられ
くられ

それでも、おかげさまでこのご時世に増刷がかかっているのでありがたい限りなのである。

具体的なお金の配分

連載「出版業界のリアル」第二回です。

前回は出版業界の空気や書店の事情などに触れ、「1000円の本であれば1万部は売れないとビジネスではない」と申し上げました。

今回は、この例え通り、1000円の本が1万部売れたとして、お金がどのように配分されるのか、その中でも、特に著者に入るお金についてを見ていきましょう。

なお、例によって、計算しやすく、またわかりやすくするために、細かい部分は省いているのはあらかじめご承知おきください。

あくまでも「概算」ということでよろしくお願いします。

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出版社が著者に払うお金

1000円の本が1万部の収益。

仮に全部売れたとして、流通に支払うお金を差し引いても、7割が出版社に入ります。

しめて1000×1万×0.7で700万円の収益。

ここから、著者の印税を支払います。ちなみに印税は、本の価格に対して印刷した分だけかかります。

今回は1万部完売として計算していますが、売れ残りがあっても1万部分の印税を支払うことになるので、出版社も初版部数を絞ったりするんですね。

さておき、印税を10%で計算すると、1000×1万×0.1で100万円。差し引きで、出版社に入るお金は600万円となります。

この600万円の内訳はまた今度として、今回はこの著者がもらえる印税100万円について考えましょう。

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「商業デビュー」作家のリアル

著者がもらえるのは、印税が10%でも1000円の本で1万部で100万円。

これが、例えば漫画やラノベで、本の価格が500円程度だとしましょう。最近はもうちょっとお高いのもありますが、まあ500円だと半分になって、50万円になります。

週刊連載の漫画であればともかく、そうでない漫画やラノベだと単行本が出るのは1年に1、2冊がいいところです。

そして、実情はなかなか厳しく、現在の漫画やラノベで2万部を超えるものはほとんどありません。

もちろん部数の桁が上がると収入の桁も上がるので、大ヒットすればそれはドカンと大きな金額が動きます。

例えば100万部のヒットだと500円の漫画でも5000万円という金額になるわけです。

しかし、現実には、初版3000部刷りの印税7%とかで様子見しちゃう出版社が増えてきてしまうわけです。部数が少なければ目に入らずそのまま流れやすくなり、結果、著者も出版社も赤字です。

具体的にこの場合に著者に入るお金は、500×3000×0.07で、10万5千円。

商業デビューして書店に本が並んだとしても、もらえる金額のリアルはこんなものになります。

作家活動はワンチャンある夢のある仕事ではありますが、安定するには途方もない苦労があります。

商業デビューしたからゴール・・ではなくスタートしただけ・・ということです。なので推し作品はみんな推すんやで(無理のない範囲でな)

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作家と経費

さらには、創作活動にはなんだかんだで経費というものがかかるのです。

紙とペンがあれば創作ができ・・・・なくはないですが、資料にパソコンに、そしてアシスタントなどを使うと人件費が発生します。

例えば漫画家では、アシスタントがいる場合、日当で1万円近い出費となります。

雑誌連載で別枠で原稿料が出ていて、仮にそれが月10万〜30万だとしても、制作費が赤字になってしまうことも多い。

なので、大半の作家さんは別の仕事を持っていることが多く、ごく一部の売れ筋作家でもない限り、専業作家ほど貧しくなるという、そういうなんとも悲しい状況になってしまっています。

この辺、以前、同人誌と商業誌の話でも触れたことですが、だからこそ、商業デビューした作家さんであっても、同人活動を続けて、そこで収入を得てなんとか生活している・・・みたいなこともあるわけですね。

最近は、作家個人が一定のお客さんをファンにつけて、その活動にお金を発生させるようにすることができるサービスが増え、以前に比べて収益を確保しやすい土壌が出来つつあります。

とはいえ、モノを作ってそれが売れて生活の糧にするというのは、それはそれでなかなか大変なことなのです。

結果的に今回は著者側のお財布事情にクローズアップする形になってしまったので、出版社側の話は次回に先送りします。

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