初出:2014/01/14 Vol.51 若くして突然死の謎 その1
改稿:2024/10/19
本日は突然死についての特集、第一回をお送りする!
こう「うっ」となって死ぬという原因不明のアレですか。
実際には、不摂生によっていろんな要因が積み重なっていって、ある日限界を超えて死ぬという構図なんだけどね。
死ぬのは突然だけど、それには日々の不摂生という因果がある、と・・・
そういうことだね。「運動・食事・睡眠」はどれもないがしろにしてはいけないものだ。
例によって耳が痛い特集になりそうですね・・・
はっはっは。こんな深夜まであれこれやらずにまずは早寝早起きをすると良い。とりあえず強制的に寝かしつけてやろう!(バリバリバリ!!)
・・・・・・!!(ビクンビクン・・・ガクリ)
・・・そのスタンガン、出力ヤバくない?
気のせいだ! 死んではいないはずだぞ、たぶん!
若くして訪れる突然死の謎と仕組み
時折話題になる「若くして突然死」の話。
まだ30代、40代といった年代にも関わらず、突然、原因不明の体調不良から突然死に至る・・・という奴です。
一体これはどういった仕組みで起きるのでしょうか?
今回から何度かに分けて、この突然死の謎について解説していこうかと思います。
年代的にまるで他人事でもないしな!
十代、二十代の人もすぐに他人事ではなくなるというか、若い頃からの積み重ねもあるし、少しは気にすると良いんじゃよ。
見た目健康そうな人がなぜ突然死するのか
これは、自分の身の回りの人間や、知人の知人という範囲での実際の話ですが・・・
数人ほど、「最近、なんだか具合悪いんですよねー」と言っていたのを最後に、最近、話を聞かないな、と思っていたら、実は急逝していた、という笑えない回答をもらったことがあります。
一見、健康そうな人がいきなり死ぬというのはにわかには信じがたい話です。
しかし、蓋を開けてみれば、不摂生と不健康の積み重ねの結果、悪く言えば自業自得とも言える、体を一切労らない暮らしが原因の1つなのは間違いないような気がします。
健康の三本柱「運動・食事・睡眠」
健康の話になると口を酸っぱくして「運動はすべてを解決する!」とばかりに重要性を説いて回っているわけですが。
「運動・食事・睡眠」、この三つは、健康的な生活を送る上で言うまでもなく欠かせないものです。
もちろん誰もがわかっているはずのことですが、当たり前すぎて「健康」の大事さを忘れている人も多いものでして、忙しかったりして無茶をする時は、これらがもっともないがしろにされる部分でもありますね。
結果として、この辺をあまりにも省みないと、ある日、突然バタリと死んでしまうのです。まったく笑えない。
それぞれの要素について、これから触れる点に該当するところのある人は要注意です。
不摂生の積み重ねが死を招く
慢性的な運動不足
まずは、病的なまでの運動不足です。
基本家で仕事をしている、忙しすぎて職場に泊まりっぱなしでデスクワーク、そうでなくても家と職場が非常に近いとか、ほぼ動かずに生活が完結しているケースです。
ひどいと仕事場から何日も一歩も外に出ておらず、10m歩いただけで足の裏が痛いといったかなり重症の人もマジでいます。
これは極端な事例にしても、ちょっと歩いただけで足が痛くなるのは運動不足に過ぎるでしょう。
ジャンクフードばかりの食事
続いて食事。忙しいと手を抜きがちですが・・・
三食カップラーメンやコンビニの菓子パン、惣菜パンといった、カロリー過多、低栄養の食事は危険信号と言えます。
また、病的な食べ過ぎ、食べなさ過ぎの摂食障害かその一歩手前みたいな人も非常にリスクが高いです。
突然死する人は、痩せているのに内臓脂肪がたっぷり(下腹部がパンパンに張っている)といった体型になっていることもあります。
極度の睡眠不足
睡眠に関しては、2、3日の徹夜は当たり前、平日はほぼ寝ないので、週末寝だめするとか言い始めると危険な兆候です。
多少の睡眠不足でも若いうちは動けてしまうものですが、年をとってくるとそういう無茶は通らなくなります。
そして、若くても負担は負担で、睡眠を取らないことによって溜まっていく「睡眠負債」は、増えていく借金がごとく、です。
週末に多めに寝れば大丈夫なんてことはありません。寝だめなどができるようにはなっていないので、負債は返済できないまま降り積もっていきます。
また、睡眠時間が昼夜逆転でも数時間程度であれば問題ないのですが、1日12時間以上寝るといった睡眠リズムなども危険な兆候です。
具体的な「体の壊れ方」
こういった不摂生を積み重ねるとどうなるか。
まず正常な体の再生自体が阻害され続け、本来1日にXX時間しか稼働してはいけない臓器が必要以上に酷使され、耐用時間を過ぎてしまうことがあります。
当然再生にかかる時間は膨大なはずなのに、それを無理矢理起きて精神力だけで動くようにしてしまうと、人間の「適用」という習性が悪く働き「慣れ」が起きてしまい、茹でガエル状態に陥っていきます。
結果的に、あらゆる臓器が壊れだし、免疫系の機能も失われていきます。
風邪の状態でステロイド注射をして無理をしている状態に近く、そうなると、本来ただの風邪で終わるようなウイルスや細菌が、あり得ないところで感染拡大を許してしまうことになります。
また腸内で発生した普通の有害物(肝臓で無毒化できるので本来は無害)が放置されて体を破壊することもあるようです。
慢性化する体の不調
長時間労働で酷使され続けて、慢性的に風邪っぽくて常にゲホゴホしてる人とか、抵抗力が下がり切っているからそうなるのです。
体が悲鳴を上げているのに、先ほども言ったように悪い意味で慣れてしまっているわけです。
「なんか最近、調子悪いな」と、そんな感じですが、ことはそんな呑気なことを言っていられる状態ではなくなっていることも多い。冗談ごとで済まなくなっているのです。
そして結果的に訪れる「死」
これらが続くと、結果的に、脳や心臓といったところに急激に炎症が広がり、急性心筋炎や急性脳炎といった症状を引き起こします。
この始まりが「あー今日は特に具合悪いなー」という程度のシグナルで、正直なところ、ここで病院に行ったとしても、助かる可能性は実際高いとは言えない気がします。
そして「ちょっと横になるわー・・・」が今際の言葉になってしまうわけです。
では、どうしたらいいの・・ってことになるので、次回から、食事・運動・睡眠をいかにバランスよくとるかということについて解説したく思います。
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著者紹介
作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
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