初出:2013/02/26 Vol.5 IQギャップ
改稿:2020/03/20
「IQギャップ」ですか? 先生。
うむ。まあ、今回は頭の回転速度の目安くらいの意味で、知性の不一致を指しているわけなのだが・・・会話が噛み合わない時ってあるじゃない。
ああ、はい、ありますね。言ったことの意味が通じてないとか、理解してもらうのに時間がかかるとか。
そうそう。逆に、頭の回転が早すぎる人同士の会話だと、隣で聞いててもよくわかんないとか、そういうのもあるし。
あー・・・なんか置いてけぼりになっちゃう感じの状況とかありますね、特に専門用語混じりになると厳しいですね。
この辺の頭の回転速度の違いというものを「IQギャップ」と呼んで、今回は解説していこうと思う。
はっはっは。話が通じない奴も世の中多いが、ほんの2、3回ビリビリすれば、だいたい素直になってくれるぞ!
・・・先生、頭の回転速度が噛み合っても話が通じないというか聞いてくれない時ってどうしたらいいんでしょう?
何事にも例外はある!
「知性の不一致」IQギャップ
彼氏彼女がうまくいかない。夫婦仲がうまくいかない。
世間一般に言われることだが、ひとつの要因として、見過ごされている問題があるように思います。
それが今回のIQギャップというものです。IQギャップというのは、言うなれば性格の不一致ならぬ、知性の不一致。
最近は日本の学校でIQテストを行うことはほとんどないため、IQという言葉が一人歩きしている様な印象を受けますが、今回使うIQという言葉はあくまで、本来のIQではなく、頭の回転速度の目安程度の意味です。
そもそもIQと人間性は別物だし、IQが高い=賢いわけでもないですし、そんなものでマウントを取る道具でもありません。
ただ、今回は、話の分かりやすさのために「頭の回転の速さ=IQ高い」というIQ低い表現を使っていくので、あらかじめご了承ください(笑)。
そもそもIQとは何か
本来、IQというのはIntelligence Quotient(知能指数)というもので人種ごとに得意な分野が違っているので細かなテストの違いなどもあり、実際のテストは複雑なのですが、その情報処理のスピードというのは会話などに大きく影響します。
人の会話というのは感情や情報を伝達するものですよね。その伝達スピードは表現力や理解力に加え、娯楽的要素も混ざってくることでどんどん情報密度が上がっていきます。
話す速度、その理解度の早さ、情報の伝達方法、基礎教養の有無など、これらに不一致があればあるほど、会話というコミュニケーションの基本部分でズレが生じます。
こうなってくると、仲良くなるのが難しかったり、彼氏彼女の関係になったときに価値観の不一致などで、恋愛感情で補正がかかっている間はいいのですが、その後破滅したりすることが多いわけです。
ともあれ、そんな頭の回転の不一致、それをIQギャップと呼ぶことにして、実例をみてみましょう。
ちなみにIQの中心地は100になっており85–115の間に約68%の人が収まり、70–130の間に約95%の人が収まるとされています(by wiki)。
IQギャップのモデルケース
例えば学校のクラスに30人生徒がいるとしましょう。
1人抜きんでた頭の良い子がいます。成績も優秀でトークも上手な人も多く交友は多いですが親友が少ない傾向があり、いても別のクラスのまたまた優秀な子であることが多いです。
ややもすれば孤立している場合も多いといえます。実際にそういう子はIQ130とか140とか、人並み外れた数値であることも多く、いわゆる学年でもトップクラスの子という感じです。Sランクと便宜上呼びます。
4人の平均より頭の回転の速い子がいます。クラスのほぼすべての人と会話することができ、それぞれが仲間を持っており、グループを構成するコアになっていることが多いです。IQでは120前後が多いでしょう。これをAランクとします。
15人くらいは成績はともかく同じ15人の間で談笑ができるごく一般的な会話力があります。ただしAランクの子と会話している方が楽しいと感じます。平均値であるIQ100前後(Bランク)とします。
次に、5人のみんなの情報速度よりやや遅い人(Cランク)がいます。先の15人とは会話はできますが、ちょっとゆっくりしているので、5人のうちの仲間と会話をするか、Cランクの人と会話する方が気楽に感じます。しかし情報速度が遅い自覚が無いため「言った」「言わない」などの情報伝達でのトラブルがおこりがちです。
最後に5人のゆっくりとした理解の子がいます。IQが低いからといって馬鹿とは言えませんが、ゆっくり話をして説明しないと理解ができないことが多く、そして多くの場合その自覚があります。寂しがり屋で同じランクの5人と仲良くすることが多いか、逆振りをして目一杯孤立してグレまくっているなどに分かれます。
あくまで自分のあてずっぽうなモデルケースですが、学校の1クラスを見回すとそんな感じに感じる人が多いんじゃないかというモデルを作ってみました。便宜上アルファベットで分けていますがIQが高いからといって必ずしも幸せとは限りません。
次回はこの区分の間でのIQの差が20あると不一致が起きるという、IQギャップについて、これが男女の仲で起きると大変面倒なことになる話をまとめていこうと思います。
著者紹介
作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
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