初出:2016/05/10 Vol.171 男と女と愛と性
先生、世のお父さん方は、娘さんが年頃になると「臭い」と言われてヘコむそうですが・・・
そりゃ本能的な部分があるからしょうがない。個人差はもちろんあるだろうけどね。
成長の証だから本来は喜ぶべき事、ということですか。
そうそう。それはそれとして加齢臭対策はなくもないけどね。
ああ、一連の記事がありましたね。香水使う前によく体洗って生活習慣を見直せと。
個人的にはまず煙草を止めろと言いたい。アレルギー持ちだし。
その辺はマナーの問題と言いますか・・・いや、私は禁煙しましたよ?
男と女と愛と性
生物学的に見た男女の差異に言及していく不定期に連載が突如始まるアレの続きです。
今回は男女の恋愛観と結婚観に極めて大きな影を落としがちな愛と性についての認識の差異についてです。
現在の人間は大半の国では一夫一妻制なのですが、数万年ほど前、我々人類が歩みを始めた頃は、洞窟にある程度の群れで暮らしていたことが分かっています。
その生活様式の間に、万年繁殖期という極めて珍しい繁殖方法を手に入れ、その効率化のために女性の生理周期が月の周期と合うようになったと言われており、月明かりの無い新月に排卵日が来るようになっていたという説があるのです。
男女の匂いの認識の違い
故に、かなり暗い場所で交尾相手を探し、つまりセックスをして繁殖をしていたわけで、男は若くて健康な女性に対して「良い香り」と特に鼻が効くようになったとも考えられるわけです。
逆に女は、男の体臭から自分の持っていない免疫や、生き残るための強さを持った遺伝子をかぎ分ける能力に長けていった次第。特に年頃の女の子が父親の臭いを毛嫌いするのは、近親相姦を避けるために自然に身につけた本能の防衛反応だと言えます。なので本来は悲しむどころか赤飯炊いて喜ぶべき成熟の証なわけです。
生物学的に見る人間の繁殖形態
今回のキーはこの本来の人間の繁殖形態は基本的に乱交型であるという部分から始まります。
乱交型と言うとなんかイヤラシい感じを想像する人がいると思いますが、合ってるようで違います。
要するに、群れで暮らす動物の繁殖形態の説明で、強いオスがすべてのメスに子供を産ませる「一夫多妻型」に対して、群れにボスらしいボスがおらず、共同生活の中で、特に強いオスが子供を作るではなく、なんとなく交尾したい同士が交尾して子供を作るというのが「乱交型」。
誰の子供か分からないため、結果的に全員で協力しあって育てるという温和なグループを作るのが特徴で、人間以外には類人猿のボノボくらいと言われています。なお、ボノボは類人猿の中では最も人類に近いと言われ、性をコミュニケーションの1つとして使っているのも特徴です。
そういうわけで次回は、この乱交型社会が本来どういう形で運用されていたのか、そこから、男と女の恋愛観がセックスが目的なのか手段なのかという形に分化していった流れを説明できればと思います。
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今回触れた「女性の香り」については、その合成方法が「薬理凶室」著「悪魔が教える 願いが叶う毒と薬」にて解説されています。
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