初出:2016/05/24 Vol.173 男と女と愛と性 〜男女の臭いの差異〜
先生、前回、匂いの認識の男女差の話をしましたが、今回はもう一歩踏み込む感じですか。
うむ。突っ込んだ話をすると男女で真逆のベクトルを向いているんだよね。
その辺を意識すると、少しはモテるようになる、と。
と、いいなあ・・・という感じ?(笑)。まあ、香水の付けすぎとかは良くないかなー。
ああ、特に煙草と香水の組み合わせは本人は麻痺してるけどヤバいですからね。
あれはバイオテロ認定してもいいんじゃなかろうか・・・
繁殖形態としての乱交型と一夫多妻型
前回、生物学的に見る人間の繁殖形態は、基本的に乱交型である、という話をしました。
乱交型の社会というのは、あくまで生物群としての言葉であって「性が乱れた社会」という意味ではありません。
誰が特定の子孫を残すようにするのではなく、なんとなく全体的に子孫を残すために協調していくことを念頭に構成された群れ社会の1つの形態です。
一夫多妻型は、1つの強いオスが多数のメスに子供を産ませることでDNAを洗練していく特徴がありますが、リーダー交代のたびに子供が大虐殺されるパターンが多く、繁栄増殖には向いている方法ではありません。故に生態系でも上位のものが一夫多妻型になることが多いのでしょう。
乱交型は、あれこれ交尾しまくって誰の子か分からないようにしてしまえば、誰かが責任を一手に引き受けるのではなく、みんなでとにかく助け合って生き残る数を増やしていこうという繁殖形態です。この差異から来る男女の価値観についてはまた後日。
「におい」にまつわる男女の差異
今回は、そうした穴蔵生活の中で「におい」について我々の先祖が獲得していたであろう能力から、男女の差異に迫ってみましょう。
洞窟などで小さな群れで暮らしていた我々のご先祖は、繁殖行動は主に夜行われていたと考えられています。それ故に、男は若い女の匂いにはわりと敏感で、現代の男もまた女性の匂いにはやたら気がつくし、年齢も匂いで分かるわけです。
逆に女性は、近親交配を避けるために、近親者の異性の匂いを不快と感じるように進化し、病気の有無を判断するために男の匂いを感知させるようになりました。故に基本的に男とは真逆のベクトルで匂いに対しての本能を持つわけです。
前回も言った事ですが、もちろんこの辺には個人差というものはあります。全般的にはそうであろう、というように思っていただければ。
この匂いに関する差異だけみても、女性の香水つけすぎは嫌がられ、男の無頓着から発される匂い(太りすぎや、病気、喫煙状況)から出る匂いはモテなさをさらに増幅するものであると言えるわけです。
なので、女は若いうちは香水をつけすぎるともったいないことになり、加齢と共につける香りは柑橘系などの嫌がられない香りを選ぶほうが無難といえます。男は、変な香水をつけるより、出来るだけ健康かつ清潔にいることが望ましいわけです。
もちろんそれだけでモテパラメータが劇的に変化するわけではないのですが、少なくともマイナスに傾くことを避けることくらいはできるはずです。
特に「におい」は以前の体臭や口臭の時にもまとめたように、悪化して好かれる要素はないので、日々運動と食生活には気をつけると良いでしょう。
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前回の記事はこちら
「科学的恋愛指南講座」記事一覧はこちら
「体臭」についての記事一覧はこちら
今回触れた「女性の香り」については、その合成方法が「薬理凶室」著「悪魔が教える 願いが叶う毒と薬」にて解説されています。
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