初出:2015/05/26 Vol.121 盲検法って何?
改稿:2023/01/20
盲検法とは?
過去のメールマガジンで「盲検法」という言葉を平然と使っていたのですが、聞かれて、はたと一般用語ではないことを思い出し、今回ご説明いたします。すみません、説明不足で。
盲検法というのは科学実験論文などで、特に臨床系の実験、つまり、薬効のあるものを被験者に使って、その効き目などを検討するときに必須とも言える実験手順です。
「気のせい」で結果が偏る
効き目を試す実験では「気のせい」で結果が偏ります。プラセボ(プラシーボ)効果という言葉を聞いた事がある人も多いでしょう。
例えば、頭痛薬Aを実験したい場合、被験者に「これは頭痛薬です」といって飲ませるのと「こちらは何も入っていない偽薬です」と説明して飲ませるのでは、実験結果に心理的バイアスがかかってしまうということです。
サプリメントの実験などはこの心理的バイアスをうまく利用して「痛みが和らいだ」などというただの感想を堂々と乗せているクソみたいな論文も結構見かけます。
また人間は思い込みによる薬効は血中にも影響することもあり、例えば血圧の薬の実験で、対象グループとして偽薬(ただのブドウ糖の塊など)を与えても、偽薬も本物も最初は血圧が下がっていくデータなどを見ることができます。
この偽薬の効果を商売として利用するのが、インチキサプリ(やお茶など)の大半の手口なわけで、ぶっちゃけ関節痛のとれるクレープとか、血圧の下がるラーメンとかでもなんでもいいわけです。
二重盲検法とは何か
話が脱線しましたので戻します。
といっても、Aグループ、Bグループにどっちに本物の薬を与えたのか、実験者が分かっていることで、測定結果に心理的バイアスがかかることがあることも多々あります。
故に、A群、B群に使う薬はどちらが本物なのか分からないように第3者が管理している方が、より科学的に冷静に実験結果を評価できると言えます。
これを二重盲検法と言います。さらにその分析者さえ分からないように、第4者を立てて、実験することで、3重盲検法を取ることもあります。
英語では字の如くblind trial とか blind experiment と表記し、大半のマトモな論文には、何重の盲検法をしたのかが書いてあり、逆に無い場合は、「これはクソの可能性」と心に留め置いて、読み進めていくわけです。