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超会議の撮影用ナイフの表面処理・塗装の話:しろへび

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超会議でお目にかけたナイフ、実は塗装に凝ってます

おはようございます。しろへびです。

去る4月27日、ニコニコ超会議にお邪魔してきました。
記念撮影があるということで、手ぶらだとちょっと厳しいことが予想できました。

くられ先生の雲形定規みたいな撮影小物があると便利そうだなー

って持参したのがこちら

名前は「Centaurea(セントーレア)」にしました。

全長は515mm 鋼材はお馴染みの武生特殊鋼材 V金10号。
舞台用、撮影用ですので黒っぽく塗装してあります。

ピカピカにしても良いのですが、反射や映り込みが邪魔になることが予想できますし、威圧感がありますから相応しくありませんね。

黒色のナイフと言えば、「フリップフロップボールドネオ」「フリップフロップネクロ」で採用した黒クロームメッキがありますが、今回は「CERAKOTE(セラコート)」という塗料を使用しました。

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塗装のメリット

そもそもなぜ塗装するのでしょう?

塗装の大きなメリットは

1)防錆
2)美観

が考えられます。

1)について。
鉄系合金の刃物の弱点は錆びることです。
ステンレス鋼のナイフは錆びに強いとはいえ、「錆びない」というのは今のところ不可能と言って良いでしょう。

錆には水分が必須ですので、塗装で水分から切り離すことで「錆びない」を実現できます。
とはいえ、刃先まで塗装すると塗料の厚みで切れなくなってしまうので、刃先までは塗装できません。

2)について。
塗装の他にはメッキという選択肢もありますが、色の種類が少なく、また刃物に使える処理温度の低いメッキはごく限られています。
その点塗装は色のバリエーションが豊富で、混色も可能です。

今回使用したCERAKOTEは元々は軍用だったようで、少々色がミリタリーカラーに偏っていますが、ビビット系やゆめかわ系の扱いもあり、紫外線下では蛍光すらします。

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なぜCERAKOTEなのか

CERAKOTEはアメリカはオレゴン州のNIC INDUSTRIESが作る塗料で、耐腐食性、耐摩耗性、高硬度、耐UV性、耐薬品性、耐熱衝撃性などに優れています。
先ほど触れたように軍用なので、米軍の装備にも採用されているそうで、ライフルなど高温、熱衝撃、寸法変化に曝されても剥離しないという性能の高さです。

ちょっとした欠点としては、2液性で硬化には120℃や150℃のオーブンが必要で、塗装用の器具(スプレーガン)もやや特殊なものが必要だということ。
また、重大な欠点としては、非常に高価な事が挙げられます。

120mlで$35(約5400円)、3800mlまとめて買っても$298(約46000円)もします。

1色でこの値段な上、長期保管はできないので、本業でもないと色を揃えるのは困難です。

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塗装の前に塗装ブースを作る

さて、「Centaurea」が良い感じだったので、

もう少しCERAKOTE仕上げのナイフを作ります。

「Centaurea」は納期に追われていて突貫な塗装でしたが、今後も塗装することを考えて、塗装ブースを整備することにしました。

ちょっと調べてみたところ、ガットワークス(https://www.gattoworks.net/)さんのネロブースが定番のようです。
買っても良いのですが、高さ500mmは私の用途では少々手狭。
ナイフはぶら下げながらの作業ですので、高さ800mmは欲しいところです。

仕方ありません。自作しましょう。

ネロブースを参考に900mm角で製作をします。

壁に向かってエアブラシで塗料を吹き付けると、壁に当たった気流が跳ね返され、被塗装物の背面にも塗料が当たってしまいます。
この跳ね返りの塗料は空中で溶剤が乾燥しており、ざらついた仕上がりになる不良の原因となります。
ネロ式では仕切り板を斜めに配置することで塗料を下方へ跳ね返し、仕切り板の下部隙間から吸引・排気する設計です。
賢い。

排気用の送風機にはAmazonで見つけたパイプファンを使用します。
構造的に風量は大きいですが、静圧が低いのでフィルター目詰まりなどの負荷には弱いです。

ちょっと割高な風量調節可能なタイプを選びましたが、結果的にはフル稼働することになったので不要な機能でした。

本体は木材か鉄で作りたいところですが、単純に大きくしただけなので風量不足で吸わない可能性があります。
ここは失敗しても懐へのダメージが少ない段ボール製にしました。
910x1820mmで300円くらいを3枚。

あとは切ったり貼ったりの段ボール工作です。
仕切り板下には塗料の跳ね返りを防ぐハニカムフィルター(猫用の爪とぎとも言う)を設置し、ダクトファンを突き刺し窓の外に排気します。

高さを確保したので、ぶら下げながらの作業が可能です。

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実際に使ってみた感想

CERAKOTEはサンドブラストで金属表面を粗し、塗料の食いつきを良くしてから施工します。

こんな感じ。
思ったよりもちゃんと吸って、吹き返しもなくなり快適です。
有機溶剤用のマスクをつけて作業していますが、室内に残る匂いも減ったような気がするので

塗装ブースは大成功のようです。

ただ、横幅は900mmも必要ありませんでした。
半分の450か、広くても600mmで十分ですね。
幅を狭くしていずれ木材か鉄でちゃんと作り直したいところです。

この後の工程としては、乾燥後、120℃のオーブンで2時間の硬化が必要です。

今回はこの辺で終わりとさせていただきますが、他にも、マスキングしての塗り分けや、レーザー加工で色を変えるなどの活用方法もあります。

その辺の話は、またいずれ、別の記事にと思ってますので、お楽しみにお待ちください。

それでは今日も一日 ご安全に。

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