初出:2014/03/04 Vol.58 合法ハーブ
先生、今回はヤバいクスリの話ですか?
ネタでやってるようなフィクションと違って、今回はマジであかん奴の話である。
ああ、非合法ドラッグより遙かにヤバい危険ドラッグの話ですか。
そうそう、それそれ。ガチで危険なので、たまには警鐘をチンドン屋みたいに鳴らす必要がある!
(・・・今の若い子、チンドン屋ってわかるのかな?)
危険ドラッグと呼ばれるものがある。事件も起きているので、ご存じの方も多いはず。
最初の頃は合法ハーブ、合法ドラッグなどと呼ばれていた時代もあり、「合法」という名称が良くない、実際は法の抜け道を突いているだけだ、ということで脱法ドラッグと呼ばれ、そして、今では危険ドラッグと呼ばれています。
今回は、そこに至るまでの成り立ちの話を、「危険ドラッグ」への警鐘としてまとめてみようかと思います。
危険ドラッグの成り立ち
かつては、知らない人は知らないが、歓楽街を歩いていると広告が目に入るので、知っている人もいるかも・・・という、ゆるい感じだった時代がありました。今ではだいぶ危険性が周知されているので、アンダーグラウンドに潜り、そんな事もなくなったように思いますが、割とおおっぴらに宣伝を打っていた頃も、ほんの一昔前にはあったのです。
そういった頃のものは規制が進んだ結果、ブームも終わった訳ですが、数年前に再燃し、急速に広がったのが、今で言う危険ドラッグです。
危険ドラッグは、見た目は普通のタバコの中身といった感のあるものですが、中身を知る販売業者は絶対に手を出さない・・・そう言われているほど、中身はヤバいものだと言えます。
見た目の草みたいな部分は、適当な乾燥させた植物で何かアレな成分が含まれている訳ではなく、後から化学合成された大麻成分様のものが吹き付けられている次第。草なのは見た目だけでケミカルです。
そうであったとしても、大して害のない成分であるなら、これほど「ヤバい」とまではいきません。もちろん良くない事ではありますが、状況はそんな生やさしいものではありません。
そもそも大麻の成分であるTHCには高い鎮痛効果があり、モルヒネの類いで押さえられない痛みも緩和できたり、炎症を抑える効果があり、その薬効部分だけを求めて合成THCは研究されていました。
つまり、これらの成分はもともと鎮痛剤や非ステロイド系炎症剤として研究されていたもので、大麻らしい作用は抑え気味に作られているわけです。
故に、合成大麻成分とは名ばかりで、大麻に近い効果を得るには危険性の高い分量を服用しなくてはいけないということになり、その安全性はまともな臨床データ1つないもの。
これらの合成大麻成分は非常に数が多いため、当初売られていたものは薬事法で麻薬指定を受けました。その後、さらに違うもの、そして禁止されると違うもの・・・と、どんどん少し化学的に違うものが入りこんで、危険ドラッグとして販売されています。
しかし、現在多く流通している成分が際立って危険とは、販売者でさえ言っているらしく、また論文に報告されている中毒報告によるとすでに数十人が死亡しているとか。
国は単純に成分を規制していっているが、規制するほど危険性が未知の成分が入ってくるという泥沼状態です。規制によって危険性が上がるというのは皮肉なものですが、当然のことながら、こんなものは手をだしてよいシロモノとは到底言えません。
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危険ドラッグの中身の成分については、以下の記事でも触れています。
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