初出:2014/08/26 Vol.82 脱法ドラッグとは その1
合法ドラッグは、合法なだけに安全・・・という人がいる。本当にそうなのだろうか?
危険ドラッグの実態
最近は脱法ハーブなどでにわかに問題が再燃しているわけですが、そもそも脱法ドラッグをちゃんと理解している人自体が少ない気がします。そういうわけで、そんな脱法ドラッグについて、サラサラと解説をします。
脱法ドラッグというのは、薬事法で「違法な薬物」に指定されていない薬物のこと。指定されていない物質、つまりは普通物質なので、薬としての法の縛りも受けないわけです。
法の上では、外国のケシゴムを買ってきて、バラ売りしているのと同じなわけで、それを「人体に使え」と標榜しないかぎり、薬事法でカバーしきれないので、販売方法として「お香」だの「ビデオヘッドクリーナー」だの別の用途を標榜して売られるわけです。法の抜け道、まさに脱法的なドラッグ・・・と解釈しておいてだいたい間違いはありません。危険性に関しては次回に譲りますが、違法なものと大差ないどころか、非合法麻薬を超える危険性のものも少なくありません。
危険ドラッグの歴史と経緯
合法ドラッグの歴史は日本では90年代末からありましたが、大規模に乱用問題が噴出してきたのがちょうど2000年あたりといえます。
当時は薬事法の規制も甘く、海外で大量に開発されていた、デザイナーズドラッグの大半が脱法状態となっており、ネットの普及から、一部のジャンキーが輸入して小売していたのをきっかけに、地下市場で爆発的需要が発生。それをうけて国内に大量に流入するように。
特に5MEO-DIPTはセックスドラッグとしてイリーガルドラッグより快感が高いと言われ新宿二丁目界隈を始め大ブレイク。GHBやマジックマッシュルーム、AMT、2CBなど比較的有名な合法ドラッグが歓楽街の店に並び始めます。2003年にはエクスタシー(MDMA)に構造がそっくりなMBDB(メチレンベンゾジオキシブタナミン)は、MDMAより強力かつ効き目が長いことで、一部のドラッグは非合法より合法のものが強力といった時代となり、合法のものが違法のモノより強いという逆転現象まで。
2005年あたりになると、5MEO-DIPTなどのトリプタミン系骨格を持つインドール系幻覚剤の強いものが流通するようになり、2007年あたりまでメチロン(MDMAの親戚)などが出現し、さすがに無法地帯が過ぎた感もあり、一気に薬事法での指定が行われ、警察が取り締まりを強化。
2009年あたりには殆どの取扱業者が消滅ないしは零細化し、終息したかに思えました。
・・・しかし、2010年に入り、2004年からアメリカで小さなブームとなっていた脱法ハーブの元祖「スパイスK2」が日本に上陸、じんわりと脱法ハーブブームが巻き起こり始めます。