初出:2016/07/26 Vol.182 酔いにまつわるクスリ
アルコールで酔っ払っているときは楽しいものの、次の日になると二度と飲むまいと後悔する二日酔い。そんな「酔い」に関係するクスリをまとめてみた。
アル中に処方される抗酒薬
まずは、二日酔いを悪化させる薬。なんの需要があるんだと言われそうだが、アルコール依存症に向けて使われるシアナミドという薬剤(商品名はシアナマイド)は、アルコールの代謝経路の最後のアセトアルデヒドから酢酸への変換を邪魔するクスリで、少量のアルコールでも血中にアセトアルデヒド(二日酔いの原因)が大量に残り、凄まじい不快感を残します。しかしこの程度でアル中がアルコールをやめることがないことからもアル中は実は笑えない薬物依存症といえます。
酔いを遅らせるクスリ
次に、すぐに酔っ払ってしまう・・・それをなんとか遅らせることはできないだろうか・・・これが実はできてしまう。
その薬とはH2ブロッカー。なんのことはない、胃薬であり、現在薬局でも売られているH2ブロッカーは何故か胃からのアルコール吸収を阻害する(厳密には胃壁内のアルコール分解酵素を阻害するとされているが、詳しくは不明)ともあれ1時間程度の酔いはじめのズレが起こることがある。しかし、アルコールの回りがあまりに遅くなるが、あくまで吸収が遅くなるだけなので、まとめて後で来る・・・ということは急性アルコール中毒で一撃死の可能性があるなど良いことは何も無いのでオススメは当然できません。
二日酔いバスター
最後に酔っ払った状態を冷ましたり、二日酔いを退散させるクスリはないのだろうか? かつて薬局にはグリチロンという肝機能を高進するクスリがあり、立ち所に二日酔いを押さえ込んでしまう効き目があった。しかし現在は販売されていません。もちろん二日酔い向けに発売されていた薬でもないので、あくまでマトモな使用法ではなく「悪用」なのであくまで知識程度に留めておいてください。
まあいずれにしても、二日酔いをクスリで誤魔化す方法を知ってしまうと、アルコールへの歯止めが失われ、結果的には健康を害することになるので、やはり二日酔いは二日酔いとして苦しむべきなのだと思います。