初出:2013/12/31 Vol.49 俺日記
改稿:2023/04/18
本日は個人情報の取り扱いについて、事例ごとに触れていこうと思う!
今までも散々触れてきたことですが、こういうのは啓蒙が本当に大事ですもんね。
まったくもって。なにぶん、わかっているつもり、守っているつもりで、全然、ということもあるし。
知らなかったことがポロッと出てくることは往々にしてあるので、気を付けたいですね。
いや本当にね。Tポイントが購買情報解析に使われているとか、個人情報の提携先への提供について規約に書いてあるとか、知らない人も多いしさ・・・
はっはっは。ポイントカードか! Pポイントカードというのを作ってみたぞ!
・・・ただのスタンプカードじゃないですか、POKA先生。
個人情報の提供は一切求めない、昔ながらのヤツだ! 実験に協力してもらう度に1ポイントつけてやろう!
嫌な予感しかしないんだけど、貯まるとどうなるの?
最新の実験機材に身を持って触れる栄誉を進呈しよう! さあ、テスラコイルかキャノンか、好きな方を選べ!
個人情報は大切にしよう
個人情報についての話は、今までも散々触れてきました。口が酸っぱくなるほど、と言っていいくらいです。
しかし、それだけ小うるさく「個人情報は大切だよ」と言い続けても、当たり前のことを当たり前にしていない人が多すぎるように感じます。
「いやいや、私は個人情報には気を付けているし!(ドヤァ)」
などと言いつつ、Facebookで実名から経歴まで堂々と晒している。出先で写真を撮っては、リアルタイムにSNSで投稿してしまう。その上、画像には位置情報が付いたまま、あげく、コンビニではTポイントカードを欠かさず使う。
これらの危険性にピンと来ない人だからこそ平気で先のようなことを言えるわけでしょうが、いずれもリスクのある行為です。
今回は、改めて個人情報の扱い方について触れていこうと思います。
リスクのある事例の解説・実名主義SNS
先ほどの事例について、何がヤバいのか、まずは具体的に触れていきましょう。
「Facebookで実名から経歴まで堂々と晒している」
実名や経歴を晒すリスクは今更です。それらを晒して堂々とやっている、って方もいますし、本名でしか出会えないこと、本名だからこそ安心できるメリットなどもあるでしょう。
とはいえ、そこで何らかの犯罪に巻き込まれても、SNSを始めとするインフラは責任を取ってくれません。
本名や経歴、大まかな住所に投稿された家族写真から情報を特定して、子どもを身代金目的で誘拐されても、です。
バスタブにお湯を張って、コンセントにつないだトースターをぶち込んで感電自殺しても、電力会社が責任を取らないのと同じだと言えるでしょう。
写真の取り扱いと位置情報
「出先で写真を撮っては、リアルタイムにSNSで投稿してしまう。その上、画像には位置情報が付いたまま」
位置情報付きの写真は、その写真をいつどこで撮影したのか丸わかりになります。どこで何を撮影したのか整理するのに使うのは便利ですが、それは余人の目に触れないことが大前提。
位置情報がわかれば、点と点をつなぐように、あるいはダイレクトに、居場所がバレます。自宅や近所の行きつけのお店、勤め先が具体的にわかってしまうわけです。
これはストーカー案件で問題になったので、最近のSNSでは投稿時に位置情報などを削除してくれるものもあるようですが・・・
では位置情報がなければ安全安心かというとそんなことはなく、例えば食事の写真一枚でも、見る人が見たらどこのお店なのかわかることもあります。
そうでなくても、リアルタイムに写真を投稿していたら、その日その時、概ねこんなところにいた・・・と、そういう情報がつなぎ合わされていき、行動が分析されて個人情報にたどり着かれてしまうのです。
実際、炎上案件で、過去の投稿にあった写真から場所が特定され、この日この時ここに居たということは、その後の弁明と食い違っている・・・なんて事例は、見かけたこともあるんじゃないでしょうか?
写真を投稿するなとはもちろん言いませんが、フェイクを入れたりタイミングをズラすというのは意外に重要なことです。
購買情報の分析に使われるポイントシステムもある
「コンビニではTポイントカードを欠かさず使う」
これは「何か問題があるの?」と疑問符がつく人も多いかもしれません。が、しかし、Tポイントのシステムはただポイントを貯めて使う仕組みではなく、利用者の購買情報を分析する仕組みがついており、有料で堂々と販売されています。
Tポイントの利用履歴を元に、ターゲットを絞り込んだ上で効果的なダイレクトメールを送ったりしているわけです。登録時に提供した個人情報を利用して。もちろん、利用規約で同意を取った上でですが。
さて、その辺、ちゃんと読んで登録した人はどのくらいいるんでしょう。気になる人は、諸々の規約を確認してみてはいかがでしょうか。
Tポイントの事例はちょっとネットからは離れていますが、個人情報取り扱いの心構えとしては、見過ごされがちという点で重要だと思います。
個人情報は個々人で持つ責任
さて、ここまで触れた通りで、ネットに個人情報を延々と投稿するのはリスクとベネフィットがまったく釣り合いません。
個人情報の取り扱いについての責任は、すべては、個人が個人であるが故の責任なのです。
分かっている気でも、Facebookの怪しいアプリにホイホイ手をだしたり、Tポイントカードを日々携帯し、無料や抽選のチャンスという名目の個人情報集めにバンバン住所を書くようでは、いつ、犯罪者の餌食になっても不思議ではないんじゃないでしょうか。
どーせ誰も見ていないだろうというツイート1つ、その発言を消そうが消すまいが、アメリカの公文書館に保管されるわけで、ネットという媒体を使う上で「残る」そして誰もがそれを参照する可能性がある・・・ということは心に留め置いておくべきでしょう。
実際問題、Adobeのような大企業でさえ、個人情報だけでなく、クレジットカードナンバーまで漏洩しておいてゴメンのひとつも無い・・・これが現実なわけです。
何もすべてを疑って全て嘘にしろという難しい話じゃーないのですが、個人情報というのはそれだけ大事なものであるということ。
そして人の個人情報もまた大事です。友人知人のことをベラベラとネットに書き連ねるようなヤツは、早々に距離をおいたほうがいいでしょう。
著者紹介
作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
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