初出:2019/12/31 Vol.361 ぎっくり腰と五十肩(四十肩) 前編
初出:2020/01/07 Vol.362 ぎっくり腰と五十肩(四十肩) 後編
改稿:2023/12/16
うーん・・・肩こりが辛い・・・腰が痛い・・・
まあ、日頃からずーっとパソコンに向かって作業してるとそうなるよね。運動しようよ。そのお腹にも効果があるぞ(笑)
今、耳まで痛くなりましたよ・・・まあ、ビールが美味しくなるからたまには少し汗を流しますかね。
はっはっは。それではお腹の方には効果がないかもしれんな! どれ、このテスラコイルを重り代わりに・・・(グキッ)
あれ? POKA先生? 変な姿勢で固まってますがどうしました?
あーあ、これはぎっくり腰だね・・・どれ、その重たいコイルをそっと置いて、そーっと・・・
・・・・・・(ポロッ)
あっ・・・テスラコイルがくられ先生の爪先に!
〜〜〜〜〜〜〜!!!(ジッタンバッタン)
肩こり・腰痛に悩まされていませんか?
肩こりや腰痛に悩まされている方は少なくないと思います。
特に長時間に渡ってデスクワークをしていると付き物と言ってもいいでしょう。
この、慢性的な辛い症状をどうすればいいか。マッサージを受けたり、整体してもらったり、ストレッチをしたり、お風呂で血行を良くしたり、痛みがひどい時は痛み止めで症状を緩和したり、湿布を貼ったり・・・
まあ、いろいろありますよね。が、この慢性的な痛みの根本的な解決策はとてもシンプル。
そう、いつも言ってるように「運動はすべてを解決する!」のです。
肩や腰の慢性的な痛みを運動で解決する
凝り固まった筋肉をストレッチでほぐしつつ、運動や筋トレを習慣化することでかなり改善されますし、冷え性などにも効果があります。
また、他の記事でも散々触れているように、運動は美容にも健康にも非常に良いので、無理をせず少しずつで良いので体を動かすのが得策だと言えます。
最近なら、リングフィットアドベンチャーなりフィットボクシングなりで室内での運動も楽しくできるので、その辺をやってみてもいいんじゃないでしょうか。
ぎっくり腰や五十肩は治療が必要
ただ、例えば「ぎっくり腰」だとか、痛みで腕が上がらなくなる「四十肩」「五十肩」については、モノによってはちゃんと病院に行って治療を受けた方が良いです。
これらは、割と「年を取ると出る謎の痛み」「年齢によるものだから我慢するしかない」みたいな風潮もありますが、そんなことはありません。
まあ、ぎっくり腰なんかは、特に寒くなってきた頃など、筋肉が微妙に緊張しているところに重いものを持ったりして「うっ」となる、という絵面通り、急性の症状が出るので医者にかかることは多いでしょうが・・・
この辺も、その後の心がけ次第で予後が変わってきたりするので、今回はその辺に付いて触れていきます。
ぎっくり腰とは何か
まずはぎっくり腰について。「魔女の一撃」などと言われるこれの正体をご紹介しましょう。
大きくわけるとおおむね二つの症状から成り立っています。
まずは、腰を支える複雑に重なった筋肉の一部に、急な運動や力が加わったところでブチっといく・・・本来、ゆっくり伸びて対応できるところが対応できず肉離れが発生、炎症が起きて症状として出る「筋・筋膜性腰痛症」が一つ。
そして、腰椎の関節である椎間(ついかん)をあらぬ方向にねじってしまって起こる「椎間関節症」、この二つが大半です。
いずれも炎症を抑える薬を飲んで栄養を取って安静にするしかなく、ここで動き回ると悪化していきます。
なので、思い切って2、3日休むというのが重要です。痛みがひどい場合はもちろん病院で診てもらう必要があります。
ぎっくり腰を起こしにくくするケア
そういった急性の症状の対処では安静にすることが大事なのですが、一方で、痛みが治ってきたら、今度はコルセットをつけて、少しずつ慣らしていく、といった過程になります。
が、しかし、ここでコルセットに頼りすぎてしまうのはいけません。
もちろん、最初のうちはコルセットを使わないとダメなんですが、ずーっと付けっぱなしというのもダメなのです。
コルセットは直ってきたら外し、腰の筋肉を鍛えること
コルセットは腰を支えてくれるのでめちゃめちゃ楽になる一方で、何週間も使っていると、腰を支える筋肉自体が弱ります。
コルセットが支えてくれているので、その分の筋肉はいらんやん、と、体がサボるようになるわけですね。
こうなってしまうと、今後より一層、ぎっくり腰を起こしやすい脆弱な体になってしまいがちです。
故に、一週間くらいで直ってきたら、今度は少しずつ可動域を増やすようがんばって、腰の筋肉を鍛えていくことが重要だと言えるでしょう。
毎日のウォーキングやランニング、腰回りの筋トレなどをがんばることが再発予防にめっちゃ重要なのです。
五十肩の原因は複雑
つづいて「四十肩」「五十肩」と呼ばれる、肩が上に上がらなくなる症状について触れていきます。
これについてはそれこそ年齢によるもの・・・と放置されがちなのですが、それは非常に良くありません。
原因自体は、確かに肩を酷使してきた老化によるものなのです。
しかしその種類はさまざまで、じわじわと原因となる病巣が成長していき、ある日、なんらかのきっかけで爆発する・・・というのが痛みの正体です。
これらは上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着性腱板炎、肩腱板断裂や肩峰下滑液包炎、などなど、場所や症状によって痛みの正体が違っています。
またこれらが単一の場合以外に、複数当てはまる場合など、原因や病態が複雑で、素人判断は難しいため、整形外科で速やかに診てもらうべき案件です。
年齢のせいにして放置するのは良くない
いずれにしても、年を取ったから起きるものだと放置していて良いものではありません。
それというのも、症状によっては放置しておくと自然に治ることもあるにはあるのですが、放置することで、関節が癒着して動きが制限されるようになってしまうことがあります。
欧米ではフローズンショルダーなどという五十肩を表す言葉もあるくらいです。動かさないとより筋肉が痩せて萎縮してますます症状が悪化することもあるため、治療が必要です。
詳しくは医師の診断に基づいて、という話になりますが、ざっくりと五十肩の治療について説明すると、最初の急性期は、投薬に加えて、患部を冷やすなど、とにかく炎症を抑え、痛みをしのぐ方向になります。
これについては、ぎっくり腰同様、急性の症状は痛み止めで緩和、という話ですね。ただ、五十肩の場合はこの次が辛い。
痛みを伴うリハビリ・緩和手段は医師と相談
痛みの慢性期に入ると、今度は関節部を温めて、関節を動かして可動域を復活させることになります。要するにリハビリですね。
で、この狭まった可動域を広げるというのが、非常に痛い。
その上、どれくらいの運動をどのようにすればいいのかが、とても見極めが難しいのです。医師の指示通りに根気強くやっていくしかありません。
しかし、ただ痛みを我慢しろ、という話ではなく、抑える方法もちゃんとあります。
ブロック注射だとか、関節部へステロイドやヒアルロン酸ナトリウムなどを入れるなどで緩和する方法はいろいろあるので、医師の指示に従ってちゃんと治していくことがメインです。
辛いものは辛いわけですが、放っておいて悪化させるのは問題なので、年齢のせいにせず、正しく治療を受けるべきことだと言えます。
著者紹介
作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
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