初出:2019/06/11 Vol.332 機械王の休日:オイルマッチをパワーアップ
おや、POKA先生、それはオイルマッチですか? なんだか懐かしいですね。
うむ、ちょっとキャンプ用品を整理していたら出てきてな。
こう、この横の部分に勢いよくシュッとやると火がおわぁ!!(火柱)
はっはっは! そのままでは芸がないから、ちょっと添加剤をだな・・・どうだ、よく燃えるだろう!
あっつ! あわわわっ、わっ、わっ・・・
火を持ったままお手玉するのは危ないぞー、消火器、消火器・・・
※この後、消火器の粉まみれになったとか・・・実際に火を扱う時は本当に気を付けましょう。
機械王の休日、第51回をお送りします。今回はPOKA先生の魔改造講座、オイルマッチを爆燃仕様にして火柱を上げてみよう、と、そういう話になります。
たかがオイルマッチ、されどオイルマッチ、動画配信で火事を起こした方もいるので、もしチャレンジする場合は、くれぐれも防火対策をしっかりした上でやってくださいね。
オイルマッチとは何か?
オイルマッチというものがあります。アウトドア用品などとして販売されており、側面にある発火合金と鋼鉄板を擦り付けて火花を出し、オイルに着火させる点火器具です。
鋼鉄板には布などが巻き付けてあり、ここに可燃性のオイル・・・一般的にはライター用のオイルを染みこませて燃料とします。側面を擦る動作がマッチの点火をイメージさせるので、オイルマッチと呼ばれているようです。永久マッチという別称もあります。
このオイルマッチを、今回は、より強力に燃えるように工夫してみたいと思います。
燃料をパワーアップ
オイルマッチの燃料は、先ほども触れたように、一般的にはライターオイルとなっています。ライターオイルは灯油よりは蒸発しやすい液体です。
オイルマッチは、このように蒸発しやすい燃料でないと、火の付きが悪くなります。翻って、より蒸発しやすい可燃性の液体を燃料にすれば、より点火しやすくなる・・・ということです。
なんだか楽しくなってきましたね。
色々な実験で火を扱う関係で、様々な燃料を今まで使った事がありますが、それを踏まえて考えると、ライターオイルに、それよりも蒸発しやすい可燃性の液体を少量ブレンドしてやるのが良かろう、という結論になりました。
早速、実際に試してみましょう。思いついたら実践。これは大事である。
ラッカーうすめ液
今回、添加剤として利用するのは、ホームセンターのペンキコーナーなどに置いてある「ラッカーうすめ液」です。
ペイントうすめ液ではなく、ラッカー用を選びましょう。ペイントうすめ液はライターオイルと同じようなものなので、今回の用途としては意味がありません。間違えないように注意。
さて、このラッカーうすめ液、ラッカーを溶解するために、その作用が強い有機溶剤が使われています。これらは速乾性であり、かなり燃えやすい液体です。キシレンが入っているような臭いがしますね。
注入・点火!
ラッカーうすめ液は、かなり蒸発しやすく、すぐに燃え切ってしまいます。
なので、「どうせなら全部、ラッカーうすめ液にしてやればいいんじゃないか?」と思っても、すぐに燃え尽きてしまうので今一つ面白くありません。この辺も、ライターオイルを主として、添加剤として使ってやれば良いと判断した理由のひとつ。
オイルマッチ程度の容量であれば、2、3滴も入れれば十分です。
というわけで実際にファイヤーするとこんな感じに火柱が立ち上ります。実に点火しやすくなって良い感じです。
煙はなんとも体に悪そうな黒煙が増えていますが、まあ細かい事は気にしなくても良かろうなのだ。
ちなみに、このオイルマッチ、普通に使う場合でも、ライターオイルをあふれるほど入れたりすると、オイル漏れを起こしたり、あふれて気化したオイルに着火したりして結構エラい事になります。くれぐれも注意しましょう。
火遊びはいいぞ、諸君! しかし安全には気を付けるのだ。うっかり死ぬと次の火遊びが出来ないからな!
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