初出:2019/06/25 Vol.334 機械王の休日:ハンダ吸い取り器のメンテナンス
POKA先生、その小さいポンプみたいな道具は、いったい何なんですか?
これは要らないハンダを取り除くハンダ吸い取り器だな。今日はメンテナンスの日なので、あれこれ掃除をしているのだ。
通りで、やけにいろんな機材がバラされたまま転がっているんですね。そこで何かぐつぐつ煮てるのもそうですか?
うむ。油汚れが凶悪だったので、ジョイで煮込んでいる。
・・・隣の大鍋でくられ先生が踊りながら何か煮込んでますが・・・異臭がひどいので私にもガスマスクをください。
何、日々に潤いをもたらすのもメンテナンスという奴である! あれだけ煮込めば既に原形もなかろう! はっはっは!
一体ナニを煮ているんでしょうか・・・キキタクナイナー・・・
※豚骨ラーメンのスープだったみたいです。ホントダヨ?
機械王の休日、第53回をお送りします。今回は電子工作の道具、不要なハンダを取り去るのに便利な「ハンダ吸い取り器」のメンテナンスについてです。道具の整備はとても大事な事。本来の性能が発揮できるように、キチンとしたいものですね。
ハンダ吸い取り器とは
電子工作の基本、ハンダ付け。この作業に失敗した場合や、電子回路から部品取りをしたい場合などは、いったんハンダを取り去らなければなりません。この時に使う道具が「ハンダ吸い取り器」です。
ハンダゴテで不要なハンダ付け部分を熱して、融けたハンダをバネとポンプの力で吸引する仕組みとなっています。
このハンダ吸い取り器、最初のうちはいいのですが、その仕組み上、吸い込んだハンダが中に溜まっていくので、使い込んでいくと吸引力が落ちたり、ポンプが動作不良を起こしたりと、トラブルが多発するようになります。
このため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
今回は、このハンダ吸い取り器のメンテナンスについて見ていこうと思います。
ハンダ吸い取り器の分解清掃
ハンダ吸い取り器のポンプは分解清掃できるようになっており、ピストンとシリンダーに分解できます。なので、まずはバラしましょう。
分解して中を見てみると、大量のハンダカスがびっしりとこびりついていました。これでは動作不良を起こすのも当然です。原因となっている固まったハンダカスを、ピンセットを使って崩し、取り除いていきましょう。
このように、機密性を維持するOリングの周囲にもたっぷりとハンダカスが付いていたので、Oリングを取り外した上で綺麗にします。
耐熱性のグリスをOリングに塗る
取り外したOリングが綺麗になったら、元に戻す前にグリスを塗り込みましょう。
使用するグリスは、何分、融けたハンダを吸引する訳ですから、耐熱性のあるものを選ぶべきでしょう。高温に対して耐久性のあるオイルやグリスにはいくつか種類があり、一般的なシリコン系のオイルやグリスから、高級なフッ素オイルなどが適しています。
とはいえ、あまり高級なものを選ぶ理由もないので、今回の場合は普通のシリコングリスで十分でしょう。
Oリング周辺に塗り込んだら、何度かOリングを回して馴染ませ、そして元通りにハンダ吸い取り器を組み直します。
分解整備、清掃、メンテナンスといっても、たったこれだけの事です。ですが、これだけの事で、ハンダ吸い取り器の吸引力は新品同様に復活します。
道具の使いこなしにはメンテナンスも重要だぞ、諸君!
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