初出:2019/07/02 Vol.335 機械王の休日:電子工作の必需品、テスト用クリップを作る
POKA先生、なんですかこのクリップの山・・・
ワニ口とかは何かと使う分、ダメにもなりやすいのでな。安売りしてるとついまとめ買いをだな。
そういうものですか・・・あれ、このクリップはやけにでっかいですね。
それは自動車用のバッテリークリップだな。これはこれで使いどころがある。
あー、そういえば前に、自動車のバッテリーで装置を動かしていたりしましたね・・・でも、なんかこれ、黒焦げですが、一体・・・
ちょっとしくじって感電してしまってだな・・・ちょっと熱かったぞ!
今回はアフロで済んだのでセーフ!
※時間が止まるタイプの感電はマジヤバいので高電圧を扱う時はご注意を。
機械王の休日、第54回をお送りします。電子工作をする場合、作った後に必須なのが、動作テストです。そんな動作テストに必須となるのがテスト用のクリップ。今回はそのテスト用のクリップの作り方を、POKA先生に解説していただきましょう。
電子回路テスト用のクリップ
電子工作とは、当然のことながら、作ってはい終わり、という訳ではありません。実際に稼働させる前に、動作のテストを行う必要があります。いきなり実運用して問題が発生すると、事によっては非常に危険な事もあるので、これは極めて重要な工程です。
そんな電子工作で作った回路のテストの際に、あると大変に便利なのがテスト用のクリップです。
電力を供給したり、信号を入れたり、測定したりと使い方は様々で、もはや必需品と言っても過言ではないでしょう。今回はこの電子回路テスト用のクリップについて、よく使う端子と、そこに繋ぐリード線のハンダ付けなどの加工について紹介しましょう。
バナナプラグ
抜き差しするだけで使える、中央に膨らみのある便利な端子、それがバナナプラグです。数A程度の、比較的大きな電流にも使えるのが特徴です。
このような部品のハンダ付けには、固定用の台や治具があると便利。バナナプラグのハンダ付け面を上にして、リード線を差し込んで固定し、その上でハンダ付けを行いましょう。ハンダゴテは少しパワーの大きな物の方が、作業効率が良くなります。
ちなみに安物のハンダゴテはニクロム線を使ったタイプで温度が上がるのが遅いので、少々高くともセラミックヒーターを使ったタイプのものがオススメです。
この辺は個別に記事があるので、関連記事からご確認ください。
ワニ口クリップ
続いて、ワニ口クリップです。このクリップは実に利用頻度が高く、頻繁に使う事になります。その分、噛み合わせが悪くなったり歪んだりして良く駄目になるので、既製品を使うのも良いですが、ちゃちゃっと自作できると便利です。
まずは、ハンダ付け用の穴にリード線を通します。フラックスを塗ったら、ハンダを流し込んで金属部とリード線をハンダ付けしましょう。この時、ハンダが大きく盛り上がらないように注意します。
ここで余分にハンダが付いてしまった場合は、ハンダ吸い取り線や、前回メンテナンスの仕方を紹介したハンダ吸い取り器で取ってやると良いでしょう。
最後に、リード線が動かないように、固定用の板を曲げて止めてやれば完成です。
IC用クリップ
さて、割と万能なワニ口クリップですが、サイズの問題で掴めない小さな端子に接続するためのクリップとして、IC用クリップがあります。小さいため、あまり大きな電流は流せず、使えるリード線も細いものとなっていますが、これは適材適所というものでしょう。
繊細な作業になるので、まずハンダ付け用の穴の方に、予備ハンダを施しておきましょう。予備ハンダとは、ハンダ付けをする前に、コテ先やハンダ付け先に、実際にハンダ付けで止める前にハンダを馴染ませておく作業です。リード線を通す前に、さっとハンダをのせてやるような感じですね。
予備ハンダをし終わったら、リード線を差し込んで本格的にハンダを流し込みます。ここでも、ハンダ付け面があまり大きく盛り上がるとスライド機構に干渉してしまうので、大きくなりすぎないように注意しましょう。先ほど同様、もし盛り上がってしまったらいったん取り除いてやり直しです。
こうして用意した電子回路用のテストクリップの実際の運用は、また機会があれば、ご紹介する事もあるでしょう。
電子工作はいいぞ、諸君!
関連記事
オススメのハンダゴテ
フラックスを塗るのに便利なフラックスペンの自作
電子工作に便利なピンセット
ハンダ吸い取り器のメンテナンス
100均で手に入る電子工作スタンド
宣伝
大好評につき早くも第4刷!「アリエナイ理科ノ大事典2」、発売中です。