初出:2018/08/14 Vol.289 機械王の休日:極細マイクロドリルを上手に使う
極細ドリルの種類
機械王の休日、第八回をお送りします。今回はPOKA先生のアバターに付きもののドリルの話です。精密加工用の極細ドリルにも用途に応じて使い分けが必要になってきます。
極細マイクロドリルを使う
電子工作の基盤を作成する際、時としてごく小さな、1mm以下の穴をたくさん開けなければならない場合があります。この時に使う極細ドリルは、一般的に安価なハイスドリルと、硬い素材に対応した超硬ドリルが売られています。ハイスドリルと超硬ドリルの違いを見てみましょう。
ハイスと超硬
この写真の左がハイスドリル、右が超硬ドリルになります。ハイスドリルの方は金属特有の銀色の光沢をしていますが、超硬ドリルは黒っぽい深みのある色で、ずっしりと重たいのが特徴です。
極細ハイスドリル
ごく一般的なドリル素材としてハイスが使われています。「ハイスピードスチール」を略したのがハイスで、高速加工に適した刃物素材です。比較的安価であり、ホームセンターで調達できる他、最近ではダイソーにも売られており、安価で調達が容易、そして粘り強く折れにくいのが大きな利点です。
反面、硬度があまり高くなく、熱に弱いのが欠点です。ガラスエポキシ基板など、硬質な材質のものを加工すると寿命が短くなってしまいます。手に持って作業するようなハンドドリルに取り付けて使うと良いでしょう。
極細超硬ドリル
超硬ドリルは、ハイスよりもはるかに硬く、耐熱性も強いのが特徴。大量のガラスエポキシ基板の穴開けも余裕です。ただ、大変硬い代わりに、粘りがなく、脆く欠けやすいという欠点もあります。
ハイスドリルは多少曲がってもそうそう折れたりはしないのですが、超硬ドリルは曲げる事はほぼ不可能、まして極細だと簡単にポキッと折れてしまいます。ハンドドリルのような、手で動かすのが前提の道具には向いていません。
従ってこのように、据え置きドリルのような工作機械に向いています。粘りがほとんどないため、低速ではなく高速回転で使うのがポイントです。回転数が上がると刃先の発熱も大きくなりますが、超硬ドリルは加熱に強いので、問題になることは少ないでしょう。