初出:2019/01/22 Vol.312 機械王の休日:ダイソーUSB充電器を検証する
へ〜、これが「電子負荷」って装置ですか。
電源試験の必需品だ!いざという時パワー不足では話にならん!
あのー、それで、そこでくられ先生がアフロになってるんですが・・・
ちょっと負荷をかけすぎたかな!ハッハッハ!
・・・・・・(死〜ん)
ついでに辺り一面が廃墟になっているんですが・・・
爆発オチは様式美である!
※実は前回から続いています(笑)
機械王の休日、第31回をお送りします。たびたび話題にする素材の宝庫100均、ダイソーでの素材調達ですが、今回はUSB充電器について、どこまで使える・信頼できるかという検証の話となります。
部品の信頼性チェックは大事
さて、今回はUSB充電器の話ですが、本題に入る前に少々。これは別に、モノがダイソーの製品だからとか、そういうのに限った話ではないのですが、カタログスペックを鵜呑みにするのは、時に危険な事があります。
今までいろんな部品をいじってきましたが、中にはとんでもない粗悪品が紛れていたり、見た目と中身が食い違っていたりという事例は結構たくさんあります。
話題になった話であれば、SDカードの容量詐欺なんかが有名でしょうか。信頼できるところから仕入れればいい、という話かもしれませんが、必要な部品がオークションでしか手に入らない事だってあるのです。なので、こういった検証作業は、意外に重要だと言えるでしょう。
ダイソーUSB充電器
前置きはさておき、そんな訳で今回はダイソーで入手できるUSB充電器を検証していこうかと思います。
ダイソーには、モバイルバッテリーの充電や、USB機器を単独で動かすためのUSB充電器が売られており、200円〜300円程度で何種類かがあります。今回は検証作業に使うUSBケーブルも調達しました。電源の検証目的なので、充電専用ケーブルでOKです。
一口にUSB機器といっても、機器の間で通信を行って電力を制御する、というものもありますが、今回は単純に、電源として5Vを取り出すだけの製品を対象に、2種類を調達してきました。「電子負荷」という装置を使って、電源の性能を検証してみます。
電子負荷は、電源試験の必需品です。ここでは詳しくは触れませんが、興味がある方は調べてみると面白いですよ。
ケーブルの加工
装置に繋ぐために、まずは加工が必要になります。USBケーブルの端を切り落として、ケーブルの銅線を露出させました。
当たり前ですが、USB充電器に接続する口側を切らないようにしましょう。USB充電器にUSBケーブルを接続し、そしてこの銅線を電子負荷に接続して測定します。
小型白タイプ:1A表記
まずは小型の白いタイプを検証。出力の表記が「1A」とあるタイプです。
CCという、電流を一定にする定電流モードで、5Vの電圧がきちんと出力されるかチェックしてみました。0.5Aからはじめて、定格である1Aまでは、安定しておおよそ5Vをしっかりと出力しています。なお、1A以上の出力は不可能でした。
この結果を踏まえると、1Aまでの使用であれば、まず問題なく使えると言えるでしょう。
大型黒タイプ:2.4A表記
続いて、大型の黒タイプの検証です。こちらは出力の表記が「2.4A」とされている製品です。
先ほどと同様、定電流モードで1Aからテストをはじめたのですが、定格に対して負荷の低い1Aの状態で既に4.6V程度まで電圧低下を起こしています。表記上の最大パワーである2.4Aでは4.1V、定格を越える2.7Aまでは踏ん張りましたが、その時の電圧は3.6Vまで下がりました。
初っ端からいきなり電圧降下を起こすので、機器によっては電圧不足でトラブルを起こしかねません。これを踏まえると、1Aまでしか使用しない状況下であれば、小型白タイプの1Aの製品の方が信頼できる、ということになります。
こういった特性は、やはり実際に検証してみないとわからない部分だと言えるでしょう。今回は所詮はダイソーUSBでの話ですが、高電圧を扱う場合に変な挙動をする部品を使っていると、大惨事が予想されます。
見た目派手な実験を行うには、こうした地道な努力も必要なものだぞ、諸君!
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