初出:2019/04/30 Vol.326 機械王の休日:キャノン点火用の圧電素子
POKA先生、百均でライター調達してきましたけど、これ何に使うんですか?
ヤスリ着火でも電子着火でも、使い捨てライターは意外と工作で使いどころがあるのだ!
そういえば前にヤスリ式を分解してましたね。今回は電子式の方ですか。
うむ! この圧電素子はデトネーションキャノンの点火に使えるぞ!
・・・今回は部屋ごとデトネーションはしないでくださいね?
問題ない! 既にフラグは回収されている!
・・・・・・(アフロ)
ああっ、くられ先生が黒焦げに!
新しいお面の加工中に「何故か」粉塵爆発を起こしたらしい!
機械王の休日、第45回をお送りします。今回はデトネーションキャノンの点火に使う圧電素子に何を使っているのか、そしてその構造についての解説となります。
点火用圧電素子
デトネーションキャノンなどの点火には、圧電素子というものを使っています。
圧電素子とは、簡単に説明すると、圧力をかける事によって電圧が発生する、圧電効果という現象を利用したものです。
一番身近な圧電素子は、電子着火式のライターでしょう。カチッと押し込んだ時に放電して、それで火が付くというアレです。
実際に、デトネーションキャノンの点火部には、ダイソーで調達した電子ライターの圧電素子を取り出して使っています。調達が容易で、壊れた時に安価に交換できるように、という理由から選定しましたが、思いのほか、これが優秀です。
今までに数百発ほどデトネーションキャノンを発射しましたが壊れておらず、相当にコストパフォーマンスの良い素子だと言えます。
さて、今回は、この優秀な圧電素子を実際に電子ライターから取り出して構造を見ていきましょう。
電子ライターを分解して圧電素子を取り出す
電子ライターの分解はとても簡単です。
一連の写真を見て頂くとわかりやすいかと思いますが、ライターの火の出る部分にある金属のパーツを取り外すだけで、他の部品も簡単に取り出せます。バネが付いた部品が圧電素子です。
圧電素子の改造
この手の圧電素子は、リード線が付いているものが多いのですが、ダイソーの電子ライターはリード線のないスリムなタイプとなっております。このため、デトネーションキャノンの点火に使うには、ちょっとした改造が必要です。
圧電素子の側面に、高電圧を取り出す端子があるので、この部分に銅板や動線をハンダ付けして、電極部とします。また、こうした改造をすると、バネ部へ不要な放電が起こりやすくなるので、カプトンテープを巻いて絶縁しておきましょう。
ちなみにカプトンテープは、高温部のマスキングや絶縁などで何かと役立つので、電子工作を行うなら持っておくと良いです。
点火装置内部に入れる
デトネーションキャノンの点火装置は、アルミの丸棒を削り出した物に、自動車用の点火プラグを固定した形状をしています。これに、改造した圧電素子を繋げます。
圧電素子は、底の金属部分と側面の端子部分に高電圧が発生するので、点火プラグの碍子上部の端子部と側面のネジ部が繋がるような構造となっています。
では、実際に放電させてみましょう!
スパーク!
出来上がった点火装置がこちらです。
見えづらいかもしれませんが、点火プラグに放電が起きているのがわかるでしょうか。この放電で、デトネーションキャノンに火をつけてやる訳ですね。
ダイソーの電子ライターは安価な素子ですが耐久性は決して悪くありません。放電のパワーはガスを着火するのに十分です。また、ライターから取り出した部品なので着火は問題ありません。
デトネーションキャノンはいいぞ、諸君!
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