初出:2013/03/19 Vol.8 包丁という道具
改稿:2021/04/13
今回は、どこのご家庭にもある「包丁」についてまとめてみようと思う。
私も料理する方なので毎日使いますが、切れればそれでいいって感じですね。
まあぶっちゃけその通りなんだが、切れ味が良くないとかえって危ないし、良い包丁であれば一生ものになるんだよね。
なるほど・・・と言いつつ、先生、包丁何本も持ってますよね。
刃物が好きじゃなかったらフリップフロップだのハイヒールだの作ってもらったりしないよ(笑)。
はっはっは。まさにナントカに刃物という奴だな!
「くられに刃物」とか「POKAにキャノン」とか、そんな慣用句ができたりして・・・
人を危ない奴みたいに言わない!
包丁という道具
包丁。おそらくほぼ全ての家に1本はあるであろう刃物です。
そんな包丁の取り扱いを意外ときちんと出来ていない人は多い。
と、上から目線で恐縮なのだが、自分も当然調理免許を持った人からみると、目に余る使い方をしているのでしょうが、anyway ともかく、包丁です。
日常的に使う道具なだけに、ある程度は知っておいた方が良いこともあります。
なので、二回に分けて包丁の話をお送りしていきます。前編の今回は「包丁の選び方」です。
一般家庭に向く包丁とは
包丁は切れ味、錆び易さ、刃持ち、耐久性などなどいろいろパラメータがあります。
例えば、切れ味で追求すれば、玉鋼の柳刃を買えば、まずどんな商品でも信じられない切れ味を誇ります。
しかし毎日使用後研ぎ直して油引き(油でサビを止めるためにコーティング)をしてないといけないという面倒な代物です。
当然そういった包丁はプロ御用達過ぎて一般家庭には向きません。
適当に拭いて適当に包丁入れにぶら下げておいて劣化しないのが家庭用として理想です。
切れない包丁は事故の元
また、あまり料理をしない人の中には「包丁の切れ味が良すぎると手をスパッとやりそうで怖い」などと言う人もいます。
実際、恐ろしく切れ味の良い刃物だと怖いくらいなので、気持ちはわからなくもないのですが、実際には、一般レベルであれば、切れない包丁の方がよほど危険です。
切れ味が悪いと料理の出来が悪い以上に、事故の可能性がアップします。
切れない包丁は斬ろうと力をこめてしまいがちで、その滑った刃が手に命中します。包丁キズが絶えない人ほど良い包丁に切り替えれば事故は減ります。
しかし包丁はいろいろありすぎてなにを買えばいいのか不明な商品であるのも事実。今回から包丁について選び方、メンテナンス、研ぎ方なんかを紹介していきます。
包丁の価格帯と品質
まずは買わないと話になりません。包丁は価格帯である程度品質が分かれます。
100円包丁
ゴミ以下です。
おそらく最も人を殺している包丁なのですが、大人の事情で何故か問題にならない100円均一に売られている包丁です。
1回限り人間を刺し殺すなら十分な性能ですが、刃物の質としては値段以下のどうしようもない逸品。
鋼材がクソ、鋼材が薄くてペナペナしている、さらに研いでも刃が一瞬しかつかず、野菜を1個斬った頃にはなまくらに戻ります。
燃えないゴミに出すのも面倒なので買ってはいけない一品。出先でどうしても必要とかそういった緊急時以外は買うに値しません。それでも良く洗ったカッターナイフで料理したほうがまだマシです。
数千円以下の包丁
ホームセンターで売られている多くの包丁が該当するジャンルです。正直アタリから100円包丁程度のハズレまで完璧に玉石混合、品質を見極めるのはかなり難しいところです。
そういう意味で最もオススメしにくい価格帯。見るべき点は、まず国産かどうかを見ます・・・これくらいしか判断基準がありません。
刃の薄さなどなどパッケージから見れる情報は限られ、鋼材の表示があっても焼き入れの状態によって品質はマチマチなので「コレ」という決定打はありません。
なので数千円範囲で選ぶ場合はまさにバクチといえるでしょう。
セラミック包丁の注意点
あとセラミック包丁に関しては研ぐのに専用の電動研ぎ器が必須です。
研ぎ器では安定した良い刃が付いていいのですが、研ぎ器の砥石が摩耗しやすいのとただ野菜などの食材によっては抜群に相性が良いこともあるのでなんとも。
京セラの包丁はプロも愛用する人がけっこういるので最近は侮れませんが、研ぎ器と合わせると余裕で1万円以上になる場合もあるのでなんともです。
1万円前後〜
建値で8千、9千円台あたりから、包丁の品質は一気に価格相応になってきます。家庭用であれば、まずこの価格帯の包丁を選べば、そうそうハズレを引くことはありません。
たかが料理の包丁に1万円なんて・・・と言うなかれ、包丁はきちんと使えば一生使えます。選ぶ際は、ステンレスの錆びにくいものを選びましょう。
選ぶのが面倒という人は、柳宗理かグローバルの三徳にしておけば家庭用では十分以上の性能です。
ただし、いずれも砥石によるメンテナンスが必須なので、特にグローバルは鋼材が硬く砥石選びが大事になってきます。ただし合った砥石で研げば、カミソリの如き刃がかなり長持ちしてとても快適に料理を作ることができます。
3万円以上
大阪でいうところの道具屋横町、東京のカッパ橋というところまで行くか、ナイフメーカーから直接通販などで購入するといった入手になります。
言うまでもなく良い物がゴロゴロです。上限を見ればキリがないとはいえ、家庭用には余る性能で、最初に触れた通り、メンテナンスが大変なのもあったりするので、包丁専門店などでよく相談して選ぶと良いでしょう。
ヘルドクターの刃物道楽
ところで、この記事の初出時、実際にまさにこの3万円以上の価格帯の包丁を買ってしまったことがあります。それもあって記事にしたわけなんだけど(笑)。
さておき、錆びにくい、刃付けしやすい、刃持ちしやすい、超切れる(ハマグリ刃ですが)と、日本刀を思わせる一品。
まさか三徳包丁で刺身もいけるとは思いませんでした(笑)。たしかに別次元の快適さがありますが、料理にそこまでの価値を見いだせるか否かというところでしょう。
後編は刃物のメンテナンスです。火で炙ったり、柑橘類を切ったまま放置したり、諸々のやってはいけない話から、砥石の選び方などなど。
こちらになります。
刃物職人・しろへび先生
なお、薬理凶室には、自分が持っているフリップフロップとかハイヒールとか、あの辺を実際に作ってくれた刃物職人「しろへび」氏がおります。
対談動画にて、自分がオーダーした刃物の来歴の話なんかに触れているので、気になる方はぜひご覧ください。
著者紹介
作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
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