初出:2019/10/08 Vol.349 タガメモドキの飼育
本日は「タガメモドキ」という水生昆虫の飼育記録である!
ふむふむ・・・アフリカ原産で、背中で卵を育てる昆虫なんですね。
これがね、かなり繊細な生き物で、飼育するのも交配させるのも大変だし、幼虫はちょっと水質が悪化するとすぐ死ぬし・・・
ことによってはエサとなる生き物まで自家繁殖させないといけないってのも大変ですね。ところでくられ先生、なんか今日は見た目が普段と違う感じですが・・・なんか声も擦れたような音が・・・
ちょっとボディを狐型からカマキリ型に変えただけだから気にしないように(ギチギチギチ)。
はっはっは。先だっての実験でちょいと失敗してな。何、メインボディは今、培養中だからそのうち元に戻る。
アフリカに広く分布する水生昆虫「タガメモドキ」
本日は虫の話です。
興味の無い人には死ぬほどどうでもいい話ですが、一部の昆虫飼育者のために記録として残しておくものです。
タガメモドキという昆虫がいます。
アフリカに広く分布する水生昆虫で、アフリカ大陸にはタガメが存在しない代わりに、日本にも存在するコオイムシの巨大版として数センチ越えの大型水生昆虫として存在しています。
その飼育を長年夢見ていたものの、なかなかチャンスがなかったのですが、先日、ペットルートに出回ったのを購入できたので、繁殖を試みてみました。今回は、その経緯をまとめておきます。
おそらく飼育者が少ないため、そういった情報共有をWEBに残しておくことは重要だと思うからです。
今回自分が飼育にチャレンジしてみたのはナイジェリア産とのことでした。Lethocerus indicus かどうかは定かではありません。
タガメモドキの飼育記録
まず成虫の飼育に関して気をつけたいことが、コオイムシと違って水の汚れに非常に弱いところです。
また大食漢のため、エサ切れを起こすと餓死することも簡単にありえます。多くの水生半翅目が絶食に強いですが、タガメモドキは絶食に弱め。さらに物陰などに非常に敏感でよく動きます。飼育環境はあまり脅かさない環境が良さそうです。
絶食に弱い性質で国内に持ち込まれた段階でかなり弱っているので、初日はデュビアやコオロギなどをピンセットで与えてとりあえずエサをとらせることが大事な感じでした。
エサを食べなかった個体は、一週間くらいでゆっくりとエサを食べなくなり斃死。これは寿命かもしれませんが。
ある程度体力が戻ると、大型の小赤などもしっかり捕食します。
成虫同士の共食いはあまりしないようで、まとめて飼育しても襲うことはないようです。この辺は水生半翅目っぽい感じです。
交配と幼虫の飼育
オスはタガメの求愛行動に近い水面を揺らす行動をとってメスを呼び、カップルが成立すると交尾してオスの背中に産卵します。
この辺もコオイムシと同じですが、とにかく神経質な虫なので、観察中に少しでも脅かすと、産卵を放棄して逃げてしまうのでその辺も難しい昆虫です。
また農薬耐性がめちゃめちゃ少ないみたいなので、水草などを入れる際は極めて慎重に導入する必要があります。
水草水槽用の水草はけっこう殺虫剤が付着しているものが多いからです。
また当然のことながら、同様に蚊取り線香や家庭用殺虫剤などが水槽にかからないように注意しましょう。
卵は約2週間で孵化。エサはメダカの稚魚や自家繁殖のヌマエビなどを与えているが、成虫以上にエサ切れに弱く、なおかつエサを捕まえる能力は低めで、水質は成虫よりさらに汚染に弱いようです。個別飼育したものはほんの少しの水質悪化で死亡しました。
水質に五月蠅い水生生物にはブルカミアという底砂+底面濾過で飼育することでだいたいクリアできるのですが、共食い率も高いため、幼虫を成虫まで育てるには相当な手間がかかりそうです。
現在1例幼虫を1週間ほどキープしていますが脱皮の兆しはなく、かなりの数が落ちています。成虫の寿命も不明ですが、感覚的にタガメと同じ1年ではないかな・・・という感じです。
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水草を育てるのも楽しいですし、食べても美味しいです
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