初出:2018/08/28 Vol.291 体に良い油 悪い油 ってなんなのか? 第2回
・・・であるからして、脂肪酸には飽和・不飽和、そして中鎖とか長鎖とか、炭素の鎖の長さで分類されていてだな。
えっと・・・例えば「長いから体に良い・悪い」とかってあるんでしょうか。
そんな簡単に判断できたら、こんなめんどくさい説明を長々とするワケないじゃん(笑)。
ああ、つまり、大前提をきちんと踏まえておかないと、テキトーな広告に騙されるよ、と。
何でもわかりやすくとは現実にはいかんのだが、わかりやすいと飛びつくからね。
というわけで、今回も小難しい話ですが、最終回で美容の話をするにあたって、こういう話は必要なのです。
脂肪酸と長さ
前回では油の種類や定義について触れました。第二回である今回は、脂肪酸についてより具体的に見ていきましょう。
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸。そして中鎖脂肪酸とか長鎖脂肪酸とかいう長さの話。これはどういう意味なんでしょうか。
まずは「飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸」という言葉。これは、脂肪酸の長い炭素鎖(炭化水素のつながり C-C-C-みたいに連なっている)に二重結合があるかどうかという化学的な性質の見方で、飽和だから、不飽和だから、「良い油」「悪い油」という簡単な話ではないということです。細かい話は後ほど。
次に脂肪酸の長さの話です。炭素数が4〜8個は短鎖脂肪酸、9〜12を中鎖脂肪酸、13以上のものを長鎖脂肪酸と呼んでいます。これも短いから体に良いとか長いから体に良いとかそういう簡単な判断材料にはなりません。
この炭素の連なりが短ければ液体っぽい油、長いと固体っぽい油になります。また不飽和は柔らかく、飽和脂肪酸は固いというイメージを持っているといいかもしれません。
身近な事例
例えば、サラダ油は冬場は固まりませんよね。これはサラダ油、特にコーン油はリノール酸という炭素数18の長鎖脂肪酸ですが、長くても二重結合が多く融点はー5℃と常温では液体です。
一方ラードや牛脂に含まれる脂肪酸は飽和脂肪酸で二重結合は無く、さらにC16の長さということもあって、単体だと融点は62℃とほとんどロウのような物体です。実際は、ほかの油脂が溶け合うことで、融点は低いですが、それでも常温ではガッツリ固体な印象ですよね。
その間・・・となるのが炭素数8のカプリル酸と10のカプリン酸などで構成される、中鎖脂肪酸の代表格としてココナッツオイルなんかがあります。確かに夏場は液体、冬場はネッチリ固まっている印象がありますね。
このように分子の長さや二重結合の有無で油の柔らかさが決まるのですが、これだけで体に良いとか悪い・・・しかも食べるのと塗るのでは真逆だったりするのが油のおもしろいところ。
最終回たる次回では、そんな油、それぞれの用途と美容について見てみましょう。やっと本題(笑)。
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前回の記事はこちら
最終回である第三回はこちら
手荒れの防止にはココナッツオイルが良い、という記事があります。
ただし、記事でも触れられている通り、肌質というのは人それぞれなので、合う、合わないはどうしてもあります。
また、普通に買うと大変高く付くマッサージオイルの自作については以下の記事もどうぞ。
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