初出:2014/10/07 Vol.88 「本当にコワい? 食べものの正体」の記事抜粋
先生、どうして食品添加物はあんな悪者にされるんですかね?
この本を読めばすべて解決だ!
わぁい。露骨な宣伝だー!
「本当にコワい? 食べものの正体」記事抜粋!
さて今回は、自分の著書である「本当にコワい? 食べものの正体」について、かつてメルマガに載せた記事抜粋を公開しようかと思います。
興味が湧いたら、ぜひ購入して欲しいのです。宣伝です!(笑)。
メリットとリスク、添加物が使われる理由
添加物が使われるには相応の理由があります。香料や酸味料は分かりますが、乳化剤やpH調整剤、防腐剤なんていわれると、なんだか得体の知れないものが入れられている気がします。
多くの添加物に関しては本文に譲るとして、まずは、食品添加物が危険・・・とされる本の筆頭で紹介されている、亜硝酸ナトリウムを例に話をしましょう。
亜硝酸ナトリウムというのは「防腐剤」や「保存料」として表記される指定添加物です。
毒性はたった2gで死に至る可能性がある毒物です。
添加物が恐いといった類いの本では必ずといって良いほどこの化学物質が「発がん性有り」と書かれていて、絶対に摂ってはいけないとさえヒステリックに糾弾する論調が見られます。
たしかに亜硝酸ナトリウムは毒です。成人男性がたった2g(2000mg)で死に至る可能性があるものが添加物として使われている・・・こう聞くとそんなものを食べ物に入れるなよと思いますね。
「買ってはいけない」「食べてはいけない」
はたして彼らの意見は本当に正しいのでしょうか?
どうして使われるのか? 原点に返って考える
なぜそんな毒物が添加物として使われるのか?
「それは消費者のため」だからです。
何を寝言を言ってるんだと言われそうなのですが、別に筆者の意見ではありません。世界保健機関や国際連合食糧農業機関といった機関が連携して決めた、世界中の多くの科学者が様々な実験をしてその結果を踏まえて、それによって得られるメリットが大きいから認められているのです。
それは何万分の一の確率で起きる、ボツリヌス中毒を可能な限りゼロにするために使っているからです。
すべての添加物には理由があります。理由が抜け落ちると、なにやらよくわからない得体の知れない化学物質を入れているという話になるので、非常に大切なところです。
何万分の一の確率のために毒を入れるのか・・・と思う人もいるかと思いますが、毒というのは、あくまで一定量を超えた場合にのみ毒として作用します。詳しくは後述になりますが、塩だってコーヒーだって発がん性毒物とも栄養源とも言えるのです。
生産者としては商品として何十万、何百万個と出荷するにあたって、何万分の1程度の食中毒の危険性も避けなければいけないのは当然です。
ハム、ソーセージの類いは肉を一旦粉々にしてそれを固めるものです。そこに外気などからボツリヌス菌が入り込むと、これはかなりの確率で人を死に至らしめるボツリヌス中毒が起きます。
なのでソーセージから亜硝酸ナトリウムの使用を無くすということは、人が死ぬかもしれない危険性があるけどそれでもいいか? という話になります。結果的にハムやソーセージには1キログラムあたり最大70mgもの亜硝酸ナトリウムを使って良いことになっています。
亜硝酸ナトリウムのADI(生涯毎日摂取しても大丈夫な量)は「0.06mg/kg体重/日」となっています。つまり0.06mgの体重倍なら毎日口から入っても問題ありませんという量です。
しかし、商品によってはこの公式を当てはめると、50g程度でADIに達してしまうので、危険だ! 危ない! 亜硝酸ナトリウムは体を蝕む! とある本には書いてあります。
一見正しそうに見えますが、まず最大容量で亜硝酸ナトリウムを使っているハムやソーセージがまずあまり売っていません。
より安全な別の添加物に代替され、その上で安全性を確保するためにどうしても必要な量を使っているため、実際は、市販のソーセージを袋一杯食べてもこの量には届かないようになっています。
それでも万一超えてしまったら? それも問題ありません。これも詳しくは後から説明しますが、ADIという安全を考えた基準というのは。「生涯・毎日」という部分を完全に読み抜かしていることになります。ADIはたまの2、3日、ADIの10倍や100倍いったところでまず影響が出るとは到底考えられないレベルで安全域を設定しているから何も問題ありません。
むしろ一年間通して毎日ハムやソーセージを1キロも食べる方が圧倒的に不健康です、たぶん、食塩と油の取り過ぎでなんらかの病気になるはずです。
それでも気になる毒性
まだ安心できませんか。
では、加えて言うのであれば、実は「亜硝酸ナトリウムが添加されている」という言葉と「岩塩で塩味を付けた」というのは実は化学的に意味は非常に近いとしたらどうでしょう?
そもそも「亜硝酸塩が食中毒を防止する能力が高い」というのは、「岩塩を使って塩漬けをつくると発色が良く、食中毒が起こりにくい」という先人の知恵を科学した結果だからです。
実は岩塩中にはかなりの量の硝酸塩が含まれており、それが食品中で亜硝酸塩に変わり、それが危険な食中毒菌が毒素を生産することを邪魔していることが分かったからこそ、化学合成で作られた亜硝酸ナトリウムを使うのです。
家庭で岩塩を大量に用いてソーセージを作ると、工場基準を上回る亜硝酸ナトリウム濃度になることも珍しくありません。逆に言えば、実際はその程度の話といえます。
ではどうして岩塩を亜硝酸ナトリウムのかわりに添加物として使わないのか? 亜硝酸ナトリウムなどと言わず、岩塩を添加してくれれば安心感が湧くじゃないか・・・もっともな話です。
それは中の亜硝酸塩の濃度が一定ではないため、確実な効果が期待できないからNGです。
故に合成の亜硝酸塩を使うのです。当然価格を抑える意味もあります。
先人の知恵があり、それを研究して我々の生活は成り立っている。
ソーセージが痛みにくいのも、ふりかけがダマになりにくいのも、プリンが安価でいつでも食べれるのも、安い肉で作った牛丼が美味しいのも、すべては技術の積み重ねがあってのことです。
当たり前すぎて見過ごしやすいところですが、科学というのはそういうものです。
しかし、そうした礎を無視し、ニセ科学者、インチキ科学評論家はあげつらい、「買ってはいけない」「食べてはいけない」とさも正義の味方のように啓蒙して廻るというわけです。
もっともらしい実験結果も実際は安全性試験の結果を持ってきているものが大半です。
背景を何も見ず、その数値自体にヒステリックに大騒ぎ。本質には何も迫れていません。
中には、そうした学者は、大企業にお金もらってOKしてる御用学者の意見だという人もいます。
確かに、学者だって人間ですので貧しい研究費を補うためにサプリ会社から金をもらってインチキな論文をでっちあげる人もいます。捏造論文を書いて世界中を振り回すクズもいます。
ただ先ほども紹介したように食品添加物の安全基準は世界中の研究機関が連携した上に、WHOなどがとりまとめて安全性を再確認し続けるといったもの。信頼性のハクが違います。
実際に、添加物の毒性が本当であれば先進国ほど寿命が縮んでいる筈です。コンビニの食事をよく買っている人はバタバタと死んでいる筈です。そんなことはありませんよね(笑)。
添加物は体に悪い・・・そろそろ卒業してもいいのではないでしょうか?
逆に言えば添加物が安全であれば食品は安全なのでしょうか?
これもまたNOです。
添加物が安全であっても製造側が不必要な使い方をすることで「手抜き」や「品質偽装」的なことは容易く出来てしまうという側面もまた事実です。
低栄養で高カロリーのものを提供しやすくなるというハッキリと因果関係の分かる問題も潜んでいます。
本書はそうした、食品の裏側の裏側へと焦点を移動してもらうためのガイドです。