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遠足のバナナ問題から考える、法解釈とその種類【前編】:倫獄

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皆さん、おやつは300円までです。

こんにちは、倫獄です。
この300円ルール、小学校などの遠足で定番ですが、「バナナはおやつに入りますか?」というお決まりの疑問とセットで語られることが多いですよね。
一見すると言葉遊びのような質問ですが、

実はこれ、真面目に考えると、法律学における解釈の奥深さが隠れているのです。

今日は法解釈とその在り方について勉強していきましょう。

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解釈が複数ある!?法解釈の難しさ

法律のある条文をどう解釈するかには、時に複数の方法や見解が存在します。
以下の例を見てみましょう。

廃棄物処理法16条
何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

これを読んで、すぐにその意味がわかるでしょうか。
例えば、裏庭の竹林が邪魔になってきたので、伐採して燃やした灰を庭に放置していたとします。

さて、この灰は「廃棄物」と呼べるでしょうか?
廃棄物だとして、自分の庭に放置することを「捨てる」と言えるでしょうか?
「みだりに」という文言も気になりますね。

この条文だけを一般の人に見せたら、その解釈はかなり多様なものになるでしょう。

そして、純粋な「言葉の意味」という観点からは、どの解釈も間違ってはいないということも考えられます。
言葉の意味は一語一義ではありませんからね。
このように、同じ条文から、複数の「間違ってはいない」解釈が導かれることがあります。

300円ルールとバナナの例で言えば、

バナナを昼食として解釈する人は、300円の内訳にバナナは入らないと主張するでしょうし、バナナをおやつと捉える人は、当然バナナも300円制限に含まれると考えるでしょう。

みたいな話です。

皆が好き放題、法律を解釈してしまったら、収拾が付かなくなりますよね。
それこそ、ちょっとしたルールであるバナナ300円問題ですら議論の種になるくらいなのですから。

そのため、法律の解釈には、一般人による「解釈」とは別に、
社会的影響力、拘束力のある「有権解釈(公権的解釈)」と呼ばれる解釈が存在します。

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有権解釈とは?

有権解釈とは、法的に権限を持つ機関が行う解釈のことです。

具体的には、立法機関、司法機関、行政機関が行う解釈であり、これらの機関が示す解釈は、一般市民や他の機関に対して強い影響力を持ち、時に法的な拘束力を有します。

最も典型的な有権解釈の例として、司法機関である裁判所による解釈が挙げられます。

特に、最高裁判所の解釈は、最終的な法解釈としての権威を持ち、下級裁判所や行政機関、そして市民に対して強い拘束力を持ちます。

最高裁判所がある法律についての解釈を示すと、それが事実上の最終的な解釈として受け入れられる

訳ですね。
このことは、

憲法第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

という条文からも読み取ることができます。

法律の解釈に争いがあったら、最終的な判断者は最高裁ということを覚えておきましょう。

これ以外に有権解釈に分類されるものとして、立法機関による解釈も重要です。
立法機関が法律を制定する過程で、その法律の趣旨や目的を明確にするために解釈を示すことがあります。
この解釈は、法律の運用において重要な指針となります。

国会質疑などで、野党議員が担当官僚に法律についての解釈を問いただしたりしますよね。
あれは、立法者の解釈を国会議事録に残させるために答弁を引き出そうとしているわけです。
解釈として問題のある答弁を引き出すことで、法案の問題点を浮き彫りにする目的で質疑をすることもあれば、「この法律ではこの分野に影響はない」といった言質を取るために質問をすることもあります。

行政機関もまた、有権解釈を行います。
法律の施行や規制を担当する行政機関が示す解釈は、実務において非常に重要です。
行政機関は通達などを通じて法律の解釈を示し、それが実際の行政手続きや市民生活に直接的に影響を与えます。
「局部にモザイクをかければわいせつ物として検挙しない」は警察による解釈ですね。

これら三つの国家機関による解釈は、法を作り、運用し、判断するという三権の過程において重要な役割を有しているのです。

では、これらの解釈は、どのような解釈でも許されるのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。

法解釈には、一定のお作法というのが存在します。

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文理解釈と目的論的解釈

文理解釈

文理解釈は、法律の条文の文字通りの意味に基づいて法を解釈する方法です。
なによりまず大事になるのがこの解釈です。
「条文を文字通り読んだら何と書いてあるか?」ですね。

この方法は、法律の文言が明確であり、その文言に対して疑義が生じない場合に特に有効です。
しかし、冒頭で見たとおり、必ずしも条文の意味するところがわからなかったり、ある事例の解決において解釈が割れたりすることは往々にしてあります。
ここで重要になってくるのが、目的論的解釈と呼ばれるものです。

目的論的解釈

目的論的解釈は、法律の目的や立法趣旨に基づいて法を解釈する方法です。
文言が曖昧であったり、複数の解釈が可能であったりする場合に、法律の背後にある目的を考慮して解釈を行います。
目的論的解釈は、時に文字通りの条文の意味からは離れることもあります。

実際に行われる解釈の方法について、一つ一つ見ていきましょう。

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様々な解釈の方法

ある橋に、

「この橋をウマに渡らせることを禁止する」

というお触れがあった場合を想像してみてください。

反対解釈

「ウマ」以外なら渡らせてもかまわないから、「牛」を渡らせてもよい

ある事項について法律の規定があるとき、それ以外の事項については、その規定は適用されないと解釈することを反対解釈といいます。
本件の場合、わざわざ「ウマ」を名指しで禁止しているのだから、牛や人間が渡るぶんにはかまわないだろうと解釈することを指します。

縮小解釈

ウマ単独で渡らせてはいけないが、人が付き添ってウマと渡ることは許される

縮小解釈は、法律の文言が広範すぎる場合に、その適用範囲を狭める解釈方法です。
これは、法の趣旨や目的を考慮して、特定の事象を適用外とするために用いられます。
例えば、お触れの目的が、ウマが暴走して通行人に危害を加えることや、ウマが単独で橋を渡ることによる危険を防止するためだったとしたら、人が管理しているウマが橋を渡ることに問題はないという解釈も導くことができます。
馬車もセーフですね。

実際の例として、日本で一番有名な縮小解釈は、憲法9条でしょう。

……といったところで、いささか長くなってしまったので、この続きは次回。
解釈の方法は、まだまだあります。

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