初出:2024/06/25
おや、POKA先生、どうしたんですかそのテレビ。随分と古い型に見えますが……
はっはっは。状態が良さそうなので、部品取り用に引き取ってきたぞ!
テレビ。テレビねえ。その古ーいテレビが現役の頃はともかく、今オワコンだよねえ。
随分前からそんな話はしてますよね。私もテレビは本当に何年も全然見てないです。
今見てるのは本当に年寄りばっかりだし、ちょっとその辺の話でも、今回はまとめてみようか。
ヨシ! 高電圧な部品が取り出せたぞ! 試しにちょっとビリビリしてみるか!?
今モルモットいないんで、人体実験は後にしてください……
テレビはオワコンなのか?
先日、テレビの視聴率についてツイートしたんですが……
これがまー結構伸びて話題になったので、もうちょい掘り下げた話をしようかと思います。
SNSだと長さ的にも限度があるしね。
さて、のっけからありきたりなテーマで申し訳ないのですが、ここでいうテレビとは「地上波放送」のことを指します。
大してメディアで活動しているわけでもない自分が言っても仕方ないのですが、肌感覚としては「終わってるけど終わってない」というわけのわからない結論から話をさせていただければ。
まず、地上波放送は今の若い世代にとってクソつまんないオワコンコンテンツである。
地上波テレビの視聴率低下が話題になってるけど、あくまで個人的な雰囲気の感想ではあるが、90年代、テレビは花形だったが、2000年に入って動画サイトの台頭が始まると、それで育った世代は完全に地上波を見限って育っていった。
彼らの下の世代から殆ど地上波をチェックしていないか、なんならテレビもない(あるいはチューナレス)状態になっている。大学や高校で授業するたびにざっくりアンケートをとってるけど、本当に地上波テレビを普段から見てる、暇つぶしに見るという選択肢になってる子さえ少ない。
これはもう紛れもない事実で、たまにSNSなどで話題になるものの、大半は批判がメインであり、「面白かった」「すげえ」でバズっているのはコンテンツ全体の比率で考えれば異常な少なさです。
若い層ほど地上波テレビは視聴の選択肢にさえなってない……は、極めて現実的な評価だと思います。
コンテンツを形作る層
時代のコンテンツというのは、その時代で一番金を持っていて人口が多くアクティブである層と、若い層がだいたい形作っているものです。
おおむね、いつの時代も娯楽に一番金を使う層というのは、30代後半〜40代中盤だとされています。
最近だと「鬼滅の刃」を皮切りに漫画ブームが再燃したのも、中央の購買層がその30代後半〜40代中盤、特に女性にあるからです。
鬼滅の刃は実に1年間で1億部以上売れた訳で、この層に刺さるコンテンツ展開をしないと、マスでの成功は「ない」とまでされています。
このマス層が、20年前は、今の50代後半〜60代中盤だったわけで、彼らに向けて一番全振りしたメディアが地上波テレビだったわけです。
人口比率では少子高齢化もあり、日本は今や人口の半分以上が白髪交じりとなっているので、
テレビはオワコンかと言われれば、見ている人の比率的には圧倒的にまだ終わってないと言えます。 ここがテレビが現在持っている最強のアドバンテージでしょう。
テレビが持つ「老人層への訴求力」
YouTuberやSNSの有名人がテレビに出るとハクがつくというのは、まさにこの「老人層」への訴求力があるからで、「テレビに出てるんだから偉い」と、1ミリも根拠のナイ謎の信頼感を獲得できるからという意味合いが大きいです。
それは、今の娯楽を廻している経済世代の「親世代」が地上波を信仰しているので、地上波テレビに出ることで社会的信用をでっちあげることができて助かるというのが、わりとリアルな本音でしょう。
収益的な面では、地上波テレビなど、レギュラー以外はお話になりません。
取材を受けたところで謝礼が出るのはまずないし、あっても微々たるモノ。
正直マジでテレビは金にならんし、時間も食われるので、自分もいろいろな取材やオファーが来ますが、だいたい断ってるのはそこに起因します。
もちろん、ちゃんとしたディレクターが構成や取材をきっちりしてると判断した場合、協力するようにはしていますが、経済的にはマイナスなので、仕事が忙しくなければ……という前提付きの対応にならざる得ません。
体感的には、2010年頃はまだなんだかんだ言って、テレビに出演するとフォロワーが増えたり、WEBサイトへのアクセスがあったりしました。
しかし、それ以降はゴールデンに出てもWEBへのアクセスは変わらなかったし、実際に飲食店の紹介番組なども、それで客が増えたというのはほとんど聞きません。
そもそも美味しいお店の取材先自体も、すでにネットで話題になってるかというネット頼みになったもので、番組製作者の嗅覚ではない時点で終わっています。
スポンサーへの忖度で「つまらなく」なる
地上波テレビが「どうしてつまんないのか」という点に関してはいろいろな理由がありますが、1つにスポンサーの影響力が大きすぎるというのがあるように思います。
かつて自分は「酸味料と砂糖と香料」で透明なオレンジ味の飲み物を作る、という実験を出した事があります。
これについて、飲料メーカーがスポンサードで文句を言うならともかく、飲料を扱っているコンビニの方から「ちょっと」みたいな話があり、結果「気を利かせて」お蔵入りになりました。
そういう意味では現在のYouTubeも、一部のワードを言っただけで広告が剥がされるという乱暴なコンプライアンスで反論も認めないみたいなシステムがあるので、マス化したメディアというのは同じような衰退の仕方をしていくのかもしれません。
そしてみんなの憧れではなくなったメディアには天才的人材が来ません。
ましてや老々天下で、おじいちゃん芸能人がワガママ放題、スポンサーのおじいちゃん世代がなんとなく雰囲気で文句を言って、それにゴマをする番組製作なんかしてたら、「面白い」なんか生まれるわけもないわけです。
そして気がつけば「知らないオジサンがひな壇でただニコニコしてるだけの番組」がどのチャンネルをつけてもやってるみたいな地獄になって、若い人は秒で見限るオワコンに見えるわけです。
テレビよりネット配信の方がリーチする時代
また放送権が高すぎるというのもあります。
若い世代が見ていない地上波に高い金を払って放送するより、ネット配信したほうがリーチするというのはもう確定した現実だと思います。
アニメ作品なども広くリーチさせるには、地上波はなんだかんだ強かった時代は2010年くらいに終わりました。今は地上波放送権に使う金があるなら、クオリティアップに廻した方が良いとされ、
ここ数年はサブスク配信サイトでどれだけ広く長く置いてもらえるかのほうが重要視される傾向が顕著です。
また地上波番組をネットで見ることができる「TVer」は、如何に今の時代、忙しい若い層にテレビの前に釘付けにして見てもらうというのは無理筋であるのかを自ら証明してしまったともいえるでしょう。
なので、現在の地上波テレビはインフルエンサーや芸能人にとっては「ハクを付ける」という価値以外がない状態かなと思うけど、それも数年から十数年かけて「まだテレビに出てる」とか「地上波くらいしか仕事ない」みたいな言われ方になりかねないんじゃないかな……と。
そんなところで、今回は締めさせていただきます。
著者紹介
作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
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