初出:2019/11/12 Vol.354 ワクチンを打つべきなのはどうしてか?
改稿:2024/09/01
本日はワクチンをきちんと受けた方が良い理由について解説していく!
インフルエンザワクチンとか、子宮頸がんワクチンとかですか。副反応がどうとか話題になるのを見かけますが・・・あとは最近の世情にまつわるアレですよね?
副反応といったものはあるにはある。が、副反応が危険だなんだというのは、不安を煽って金儲けをしたい連中の妄言である。ちょっと熱出したりするかも、っていうのと、うっかりしたら死ぬかも、なんて比較するべくもないだろう。
そりゃ、打っておけば死ぬ可能性が下がるんであればそうですよね。
反ワクチンとかいう非文明的な愚者の群れもいるが、あれは存在としてはウイルスよりの連中なので、火炎放射器で消毒すべきである。
ま、まあそれはそれとして・・・ワクチンはしっかり受けて、そして感染予防に勤めましょう。はい。
ワクチンを受けずにウイルスをばら撒く=バイオテロリスト
本日はワクチンの話をしていきます。たまには真面目な話をするんじゃよ。
例えばインフルエンザのシーズンに「自分は今までワクチンとか打たないでも平気だったから」などと言って打たない人。
打たないでいて感染してインフルエンザウイルスをばら撒くのであれば、それはバイオテロリストと言われても仕方のない所業です。
特にどこかの寒い中並ぶ神社やコミケのような大人数のイベントに行く人は必ず受けましょう。いや、帰省する人でさえ受けておくべきです。
ワクチンは社会全体を守るためのもの
インフルエンザワクチンに限っては、受けたからといって必ずインフルエンザにかからなくなる・・・というわけではありませんが、それでも受けるべき理由があります。
まず、重症化する危険性と死亡率がぐっと下がることで、この時点でメリットはゼロではないわけですが、実は個人のそういう都合だけでなく、実は一番重要なのが、ワクチンというものは「社会全体を守るためのものである」ということ。
この認識が極めて大事なのです。
それというのも、例えばインフルエンザワクチンは卵アレルギーの人や乳幼児には打つことができません。
卵アレルギーの人や乳幼児はインフルエンザウイルスに晒されると当然ワクチン未接種の人より感染率は高くなります。
乳幼児の場合はそれが生涯残る脳の後遺症などになることさえあります。
流行マップから見る実際の感染状況
感染・・・というのがピンとこない人が多いと思うので実際に流行マップをみてみましょう。
出典:国立感染症研究所・インフルエンザ流行レベルマップ(2017〜2018年)
このURLは2017〜2018年のインフルエンザの流行分布です。
これを紐解いていくと、感染の広がり方について理解を得られるかと思います。
飛び地での患者発生は「運び屋」になってる人がいるということ
まず最初に新潟でインフルエンザがありますね。
本来ならば陸続きで感染は広がりそうなものですから、新潟の次は隣の富山か山形、群馬・・という感じですが、実際は宮崎県にいきなり発生しています。
新潟と宮崎を移動する人というのは極めて限られると思うので、おそらく一人二人の罹患者が飛行機で宮城県にピンポイントでウイルスを運んだことを示してると思ってもよいでしょう。
もちろん厳密に調べたわけではないので偶発的な可能性はありますが。
そしてあとは人の流れのまま一度広がりだしたインフルエンザウイルスは瞬く間に日本中を真っ赤に染めていきます。
流行レベルマップ・最新情報
今回はわかりやすくするために2017〜2018年のマップを例に取って解説しましたが、最新情報はもちろん、国立感染症研究所のページに載っています。
皮肉なことに、コロナウイルスの流行に伴って、感染症対策、つまりマスクに消毒、手洗いうがいが行われた結果、インフルエンザの流行も、マップが真っ赤っかというほどでもなくなっています。
が、しかし、だからといってインフルエンザワクチンを打たなくてもいいという話にはなりません。それどころか、コロナとのダブルパンチになることまで考えると、より一層の警戒が必要だと言えるでしょう。
ちなみに、マスク云々が自己判断になった途端、インフルエンザもまた流行し始めたので、なんともなんともという感じです。手洗いうがいに人混みにはマスクという感染症対策の基本は今後も守り続けるべきですね。
コロナが5類になっても、ウイルスは人類の都合など斟酌してくれません。
インフルエンザ脳症の悲劇
さて、話をワクチンに戻すと、「別に打っても打たなくてもかかるし、お金もかかるから俺はいいや」みたいな感じで、打たずに罹患して、それをワクチンが打てない人に感染させてしまうリスクの部分がヤバいのです。
毎年、200〜300人の乳幼児が、体が不自由になるなどの重い後遺症を持つ、インフルエンザ脳症になっています。
この中の何人か、何十人かは、もしかしたら、誰かがワクチンさえ打っていれば、インフルエンザ脳症にはならなかったかもしれないわけです。
インフルエンザは、ワクチンで100%押さえ込める病気ではないので、ワクチンが万能だとは言えません。よって運否天賦の部分もあるでしょう。
しかし、これが麻疹(はしか)となると、別次元です。
「免疫をリセットする」麻疹の脅威
麻疹(はしか)のワクチンはインフルエンザとは違い、一回の接種で免疫が付かない人もいるものの、正しく接種すればその効果はほぼ100%で予防効果は段違いに高い。
その優秀なワクチンの効能で忘れられるくらいに撲滅に成功していたヤバい病気、麻疹(はしか)がこの国にまた広がりつつあります。
しかも反ワクチンとかいう病原体の味方まで湧いてきて非常によろしくないですね。
麻疹(はしか)に関しては免疫をリセットするというとんでもない副作用が最近発見されています。つまり他のワクチンやなんとか持ちこたえた病気に対する免疫情報を白紙に戻してしまうということ。
にわかには信じられない、とんでもない能力です。
動画で見る「ワクチンの重要性」
ワクチンを受けた方が良い理由は動画にもしたので、ぜひ合わせてご覧ください。
お悩み相談として受けた「子宮頸がんワクチンを受けた方がいいのか」という質問。
これに関しては、後で後悔しないために絶対に受けておくべきとあえて言い切ります。
副反応がないとは言いません。言いませんが、重篤な副反応が出ることは極めて稀で、打たずにいて子宮頸がんになって死ぬことを考えるのであれば、何度でも言いますが比較にすらならないでしょう。
死なずに済んだとしても、子供を望むことができなくなった、ということも考えられます。
インチキな報道に惑わされてはいけない
ワクチンを打っておけば回避できたかもしれない悲劇です。
そして、不安を煽る報道による子宮頸がんワクチン摂取率の低下で、死ななくてもいい死者が大量に発生したのは紛れもない事実です。
マスコミの仕事は真実を伝えることではなく、視聴率を取ってお金儲けをすることです。しかしながら、していいことと悪いことはあるように思います。
ことワクチン関連の話はもはや社会悪の領域です。
まして反ワクチンなどという連中は、存在そのものがウイルス側と言っても良いもの。
動画でも例えた通り、人狼であれば「狂人」に相当する存在です。
反ワクチンは真っ先に吊るさなければ、被害が増えるばかりというものでしょう。
子宮頸がんワクチンの不名誉な話
子宮頸がんワクチンに関しては、りりか先生の解説でお送りする対談動画もあります。メディアの悪行で接種率がものすごく低下してしまったんですよね。大変罪深い。
性教育にまつわる記事なんかもあるので、こちらもあわせてどうぞ。
子宮けいがん撲滅へ 女子高校生がTikTok動画を知事に提案
女子高生がInstagramで子宮頸がんの広報活動を行っているとのことで、ニュースになっていたのですが……
なんと活動を始めたきっかけは、淡島りりか先生だそうです。
先ほどの動画でも触れていますが「アリエナイ理科ノ大事典3」にも、りりか先生の詳細な記事が載っています。
そして、シルガードというワクチンの公費負担について、2023年の4月からは対象者は無料で接種できるようにもなりました。その辺を最新情報に更新した該当記事を、今回のニュースを受けて、ラジオライフ編集部のTwitterで無料で公開しています。
ぜひあわせてご覧になってください。
子宮頸がんワクチンのキャッチアップ接種の期限
そして、子宮頸がんワクチンの対象者無料接種こと「キャッチアップ接種」ですが、無料で受けられるのには期限というものがあります。
これまた淡島りりか先生がTwitterで注意喚起をしていたのでこの場でもご紹介しておきましょう。
子宮頸がんワクチンは3回の接種が必要で、その期間はトータルで6ヶ月かかります。
キャッチアップ接種の終了は2025年3月。つまり、2024年9月中に一回目を受けておかないと、全部無料にはなりません。対象者の方はくれぐれもお気を付けください。
詳細は厚生労働省に案内があるのであわせて確認しましょう。
亜留間先生の「アンチワクチン利権」の話
初稿の執筆当初の頃と比べると世界情勢が大きく変化して、今ではワクチンといえばコロナウイルス関連ですね。
mRNAワクチンは極めて優秀です。一方で、DNAがなんとかかんとか、そんなmRNAワクチンにまつわるデマをばら撒く連中もいるわけですが・・・コロナウイルスとそのワクチンに関する自分の話はまた機会を改めるとしまして。
この「アンチワクチン」にまつわる利権について突っ込んだ亜留間次郎先生の記事がトカナで公開されています。
例によって非常に強烈な切れ味の記事なので、アンチワクチンや陰謀論について気になる方はぜひご一読ください。
また、この辺の話は対談動画としても公開しましたので、そちらも是非。
【ドヤれる科学】ワクチンの効果ってぶっちゃけどうなの?
ワクチンについては動画シリーズ「ドヤれる科学リテラシー」でも触れました。
ワクチンを打たなければいけない理由について夜子先生がバッサバッサ切っているので、ぜひあわせてご覧ください。
また、動画で触れたインフルエンザワクチンの有効率だの重傷化リスクの低減については、それだけで単体記事があります。その辺が気になる方はこちらもどうぞ。
著者紹介
作家、科学監修。「科学は楽しい!」を広めるため科学書分野で20年以上活動。著作「アリエナイ理科」シリーズ累計50万部突破。原作を務めるコミックス「科学はすべてを解決する!!」も50万部を超える。著作「アリエナクナイ科学ノ教科書」が第49回・星雲賞ノンフィクション部門を受賞。週刊少年ジャンプ連載「Dr.STONE」においては漫画/アニメ共に科学監修を担当。TV番組「世界一受けたい授業」「笑神様は突然に・・・」NHK「沼にハマってきいてみた」等に出演。ゲーム実況者集団「主役は我々だ!」と100万再生を超えるYouTube科学動画を多数共同製作。独自YouTubeチャンネル「科学はすべてを解決する!」チャンネル約30万登録やTwitterフォロワー16万人以上。教育系クリエイターとして注目されている。関連情報は https://twitter.com/reraku
「アリエナイ毒性学事典」好評発売中です!
「アリエナクナイ科学ノ教科書2」好評発売中です!
新刊「マンガでわかる! 今日からドヤれる科学リテラシー講座 教えて!夜子先生」好評発売中です!
関連記事
インフルエンザワクチンの話は他にも記事があります
麻黄湯は漢方ですが、実はインフルエンザに保険適用があるくらいには効果が見込めます。
風邪薬や救急箱の話。
ただしインフルエンザだと使えない解熱鎮痛剤とかあるので、医者にかかりましょう。
公衆衛生の基本は手洗いうがい。そしてハイター。
宣伝
ニコニコ動画にて有料チャンネル「科学はすべてを解決する!! ニコニコ秘密基地」を開設しました!
「アリエナイ理科式世界征服マニュアル」が改訂版となって新発売されます!
「アリエナイ医学事典2」好評発売中です!
「アリエナイ医学事典 改訂版」好評発売中です!
「アリエナイ理科ノ大事典3」、好評発売中です!
くられ先生の単著「アリエナイ毒性学事典」好評発売中です!
工作系に特化した「アリエナイ工作事典」好評発売中です!
「アリエナイ理科ノ大事典」改訂版が発売中です!
「アリエナイ理科ノ大事典2」、好評発売中です。