初出:2014/10/21 Vol.90 文章書きのルール 第1回
最近すっかり、宿無しYoutuberとかイロモノ扱いをされているが、これでも自分は物書きなのである!
著書が星雲賞を受賞してるくらいですからね。イロモノ扱いは昔からずっとそうだったと思いますが・・・
そこで、今回から「文章書きのルール」を連載していこうと思う!
初回である今回は、具体的な文章の書き方ではなく、大前提となるルールの話ですね。
うむ。商業原稿を書く上での基本ルールは意外と知られていないしね。
ああ、懐かしいですね。かつて最初に仕事として記事を書いた時に、私も先生に教えてもらったものです。
文章書きの基本ルール
文章を書く。人にモノを伝える。
キーボードさえ打てれば文章なんて書けそうな気がしますが、「人に伝える文章」というのは、ちょっとした技術が必要になります。
ましてや、ライターといった文章書きの仕事においては「お金になる」クオリティで原稿を書かないといけないわけで、そうした場合に知っておくべきこと、または、文章をそれなりに見せるためのテクニック的なのをちょっと書いておこうかと思います。
まず最初は「記事」として原稿を納品するために最低限守らなければいけないルールについて紹介します。当たり前すぎる話でもありますが、意外と知らない人も多いのでまとめておきましょう。
これがしっかりできていると、編集者の作業が楽になり、なにより文章全体に素人臭さが無くなってきます。要するに暗黙の業界ルール的なものです。もちろん自分の話が絶対というワケじゃないですが。
なお、最近だと、紙媒体なのか、ウェブ媒体なのかによってもルールが違う事も増えてきましたが、基本的に紙媒体に置けるルールに準拠してお送りします。ウェブの方が紙より緩めのルールである事が多いので、まず紙の方を押さえておく方が良いです。
最低限の紙媒体向け商用原稿のルール
独自形式のファイルではなく、プレーンテキストで入稿する
WordやPagesなど、ワープロソフトの独自形式(.docx、.pagesなど)で提出するのはやめましょう。プレーンなテキストファイル(.txt)で入稿すべきです。
原稿作成時にワープロソフトを使うのは好き好きですが、最終的に入稿する場合には、「書式なし」とか「標準テキスト」と呼ばれる形式に書き出しましょう。
昔であれば、ここでさらに文字コードに関しても気を遣う必要がありました。というのも、最近のOSではともかく、古いOSを使っている場合、相手の環境で開けない、文字化けするといった不具合が起きる事が多かったからです。
標準的な仕様になっていれば問題なくやりとりできるはずですが、もし文字化けして読めないと言われた場合、文字コードがUTF-8ないしShift-JISになっているかどうかを確認しましょう。
縦書き・横書きで数字の扱いが変わる
縦書きなのか、横書きなのかによって、文章中の数字の半角と全角が変わります。
(例)
縦書き推奨:マイナス273.5度、ないしは−273・5度
横書き推奨:-273.5°
DNAのような略英字は横書き縦書き問わず全角ですが、英単語は基本的に横書き・横書き問わず半角で記述するようにしましょう。
これは、ウェブ媒体であれば気にしなくていいのですが、紙の書籍であれば縦書きレイアウトなのか横書きレイアウトになるのかで全角か半角なのかで編集者の手間が大きく変わってきます。
編集者側で体裁について最初に言ってくれる事もありますし、会社や雑誌の基本フォーマットみたいなものがあり、最初の取引で教えてくれることもありますが、よく分からない場合は事前に打ち合わせて決めておくと無駄な作業が1つ無くなります。
段落の始めと!や?の後に全角スペースを一つ入れる
段落の最初には、全角スペースを一つ入れておきましょう。また、「!」「?」の後も、同様に1マス空けます。
(例)
こんな感じに文章の始めに全角スペース1つで入れてください。気をつけないといけないのは、アプリケーションの設定で勝手に半角空きが入ってしまうことを避けることです。特にぃ! 気をつけることとしてはっ! ビックリマークやハテナマークのあとは1マス空けることです。
段落の始まりにこうやって字下げをするのは、日本語文章の基本ルールでもあり、紙媒体では基本中の基本、必須ルールです。しかし、ウェブ媒体ではそうでもない事があります。
というのも、根本的に見やすさの問題であり、紙媒体だと段落の切れ目で一段下げないと分かりづらいのに対して、ウェブでは段落の切れ目に空行を入れて体裁を整えたりするからです。
余談ですが、実際に「メルマガの時は段落の最初に字下げする(一行ニュースは例外)」「ポータルでは字下げを行わず、段落変更時は空行を入れる」ように編集時に処理されています。
機種依存文字・絵文字、半角カナを使わない
OSに依存する機種依存文字を使うのは避けましょう。いわゆる「ローマ数字」「丸囲みの数字」「省略文字」「単位」などです。
見出しなどを表現したい場合は、●や■のような、MacやWindowsで共通のものにしておくべきです。また、半角カナも基本的には避けた方が良いです。
言うまでもないことかと思いますが、絵文字を使うのもやめましょう。もってのほかです。
括弧書きの数字を使いたい場合は、(1)などというように、括弧と数字を組み合わせておくと良いです。あくまでも外字の類は使わずに原稿を仕上げましょう。
「・・・」三点リーダーに要注意
これは、ところによって対応が変わってくる話になるのですが、三点リーダーの使い方には気を付けましょう。会社によってこれはマチマチなので、先に聞いておく方が無難です。
「・・・」の取り扱いに関しては外字の「…」(三点リーダー)を使えとか「・・・」半角の三点リーダーにすべきとか「….」ピリオドにしてもらうほうがいいとか、いろいろあります。
どれが正解とは言えませんが、うっかり「。。。」なんてタイプするのは、やめておいた方が良いでしょう。外字も使わない方が無難です。
長くなってきたので、今回はこの辺で。連載として続きます。
関連記事
くられ先生の「文章書きのルール」記事一覧はこちら
「リテラシー」カテゴリの記事一覧はこちら
宣伝
冒頭で触れた、星雲賞を受賞した「アリエナクナイ科学ノ教科書」、好評発売中です。
続編はディスカバリーチャンネルで連載中です!
大好評につき早くも第4刷!「アリエナイ理科ノ大事典2」、発売中です。