初出:2014/11/04 Vol.92 文章書きのルール 第2回
連載「文章書きのルール」第二回である!
前回は基本ルールの話でしたし、いよいよ文章の書き方それ自体に触れていく訳ですね。
うむ。今回からはどう文章を整えると読みやすいかという話である。まず大事なのは「用語の統一」。
ああ、同じ事を言ってるのに表記が違うと読んでて混乱しますもんね。
いかに読者にすらすらと読んでもらうかという点で、とても大事な事なんだよね。
媒体によって表記が統一されてて、編集時にまとめて修正される事とかよくありますし。
一個の原稿中で統一させるのはライターの仕事で、一冊にまとめる時に統一させるのは編集の仕事になるかな。
文章書きの基本ルール「用語の統一」
文章を書く。特に人に向けて分かりやすい文章を書くというのは、簡単そうでそうもいきません。
では難しいのかと言うと、実はそうでもなくて、ある程度まずは「綺麗に見えるルール」を踏襲したあとは、ひたすら読者のことを考えて書くようにしていけば、そのうち形にはなってくると思います。
と、自分も偉そうには言えないのですが、これでも数十冊と本を担当してきて、一応、赤字本を一冊も出してはいません。
自分はその程度な訳ですが、その上でなんとかなる範囲の話をするわけです。
第一回の前回は、商用原稿としての最低限の体裁の話をしました。今回は、「用語の統一」について触れていきます。
用語が揃っていないと読者が混乱する
「用語の統一」、これは読みやすさに直結するので、とても大事な事柄です。
文章を書いていくと、同じ言葉でも書き方が変わってくる事があります。
例えば
唐辛子の成分であるカプサイシンは、トウガラシの実を害虫やカビなどから守る防虫・抗菌効果もかねており、なおかつ辛さによって獣に食べられないように進化の過程で獲得したものである。
蕃椒はcapsaicinを持つことで動物に食べられなくなった。しかし、せっかく作った種子をばら撒けないというジレンマに陥るが、実は鳥類はからさを感じないため唯一唐芥子を食べることで種子を広げることができるということになる。
読めなくは無いのですが、「トウガラシ 唐芥子 唐辛子 蕃椒」「辛さ からさ」などと頻出する言葉が統一されていないことで、読んだ人が混乱してしまいます。
あくまで読者が、すらすらと読んでいく中で「ん?」と思うような部分が出来ないようにとにかく心がけることが大事です。誤植に関しては・・・まぁ、なんだ、ガンバレ。
用語が揃っていると読みやすい
さて、ではこの読みづらい文章を読みやすくするために、用語を統一してみましょう。
トウガラシの成分であるカプサイシンは、トウガラシの実を害虫やカビなどから守る防虫・抗菌効果もかねており、なおかつ辛さによって獣に食べられないように進化の過程で獲得したものである。
トウガラシはカプサイシンを持つことで動物に食べられなくなった。しかし、せっかく作った種子をばら撒けないというジレンマに陥るが、実は鳥類は辛さを感じないため、唯一トウガラシを食べることで種子を広げることができるということになる。
格段に読みやすくなったと思います。
「唐辛子」と「トウガラシ」は、同じ言葉ですが、理系書的なもので若い人向けの文章であれば「トウガラシ」のほうが文中で目立つので読みやすいはずです。
一方で、高齢者向けの媒体などであれば、漢字の「唐辛子」のほうがなじみ深いため、漢字表記にした方が良いと思います。
このように、常に読者と読みやすさを考えて単語をチョイスする必要があります。
この作業はガーっと書いている時にはうっかりミスをしやすいので、書き終わっていったん休憩した後に、校正してしまうクセを付けると良いです。
いずれにしても、いったん書き上げた文章を落ち着いてから読み返して校正するのはとても大事なのですが・・・
メルマガに関してはほぼ一発書きで、時間的余裕がないことも多く、色々と言い回しがおかしいところもあるかと思います(笑)。この辺はどうかご容赦を。
※編注:一応これでもメルマガ編集時に目立つ部分は直しています。ポータル記事にする時はさらに編集を入れていますが・・・それでも変なところがあったら、その、ごめんなさい。
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